破談工作…?その3
えーい!もう一回やり直しです!テイク3です!!
こんなに何回も録音するなんて、気分は映画監督って?やかましいわ!
ただ言葉を真似してもらうのも、会話から言質を取るのも不可能でした。大人なら何か思いつくのかもしれませんが、僕は万策尽きました。
もうこうなったら仕方ないのです。とんでもなく悪いことをするという自覚はありますが、背に腹は代えられません。
「お菓子あげるので僕の言ったことと同じこと言ってください」
「はーい!」
そう、ルチアさんを買収します。お菓子で!
だって仕方がなかったんです!他に方法がないんです!!何も思いつかないんです!!!
「『結婚はしません』」
「けっこんは、しません」
おっ、いい感じ!さっきの敗因はとにかく言わせることに全力を尽くさなかったことですね!買収賄賂何のその!今なら悪事を尽くす政治家や王家の気持ちがわかるかもしれません!
……いや、それはわかりませんでした。どこまでいっても僕は情けないままの僕なのです。
でも、この作戦ならいけるかもしれません…!
「『お見合いは破談にしてください』」
「お、おみあ?ははだ?んにして…?くだたい」
あ、ルチアさん舌噛んじゃった…ごめんなさい、もっと簡単な言葉にすれば良かったですね。
「お見合いは嫌です」
「おみあー」
「……お見合いです」
「おみあいってなあに?」
首をこてんと傾けたルチアさんが聞いてくる。やめて、そんな眩しい目を向けないで…!罪悪感に押しつぶされそうになります……!
そうだった。この子お見合いがわからないんだった。侍女に聞いてたの忘れてました。
もうお見合いってなんなのですか?世の中のお見合いをする皆様方は、花瓶の水を飲もうとする三歳児を止めたり、破談にしようとしてボイスレコーダー用意したり、雑草のスープの話をしたり、お菓子で買収をしたりするのでしょうか?
もう……見合いとは???
「……何なんでしょうね…」
「?」
僕はもう、遠い目をしながら答えることしかできませんでした。心ここにあらず。
目の前にいる彼女の、美しい色の瞳だけがキラキラ輝いて見えました。
その3、定義に迷う。




