破談工作…?その2
仕方ないのでやり直しです。テイク2ってやつです。ボイスレコーダーは長く録音できるのでまだまだ大丈夫です!何の話?
一応使用人の方々には気づかれないよう机の下に忍ばせる形を取っていますが、この調子だと堂々と出してもバレなさそうですね。
えっ?さすがにそれは馬鹿にしてるって?馬鹿にされたくないなら花瓶の水を飲む少女を止めてから言ってください。何が悲しくて自国の者ですらない、初対面の他国の王子が止めてるんですか。
「ルチアさん、お話しましょうか」
「うん!」
「『おにいちゃんは意地悪な人です』」
「おにいちゃやさしーよ?」
「真似っこしてくださいよ…」
僕が項垂れていると、ルチアさんがテーブルに両腕をべたりとつけてくつろぐ姿勢になりました。家みたいにくつろぐじゃないですか。一応お見合いなんですけど。破談にしたいんですけど。
「あのねー、ママとねー、ごはんつくったの!」
「えっと…それは良いですね。何を作ったんですか?」
「えっとね、セリ?とね、ノビル?とね、タンポポのスープ!」
「!?」
この子何食べてるの!?アリに?花瓶の水に?タンポポ??セリとノビルって何だっけ。タンポポって食べられるとは聞いたことありますが…完全に料理してる……?ママ何者なんだ。王弟の妻ですよね???
「えっと…ルチアさんのお母様は料理が上手なんですね」
「うん!」
そう言った彼女はニコニコでしたが、話はまだ続きます。王弟妃?が作る雑草のスープって何なんだ。あれ、でも王弟って独身だったよね確か。ということは婚約者?
「あのね、でもね、パパがね、いらないって。くさはいやーって、ゆったの」
「確かにタンポポは草ですね」
僕の推測が正しければルチアさんがお母様と作られたのは雑草のスープ?でしょう?確かに王弟なら飲みたがらないかもしれませんね。
「でもね!ママがね、もったいないでしょー!ってしたの」
「それで、スープはどうなったのですか?」
「パパスープのんだ!」
「それはすごい!お母様は交渉がお上手なんですね」
「ふふーん」
お母様を褒められたからか、めちゃくちゃ自慢げにしてますね。かわいいなあ……。
それにしても、使用人の方々の視線が気になるような…彼女は気づいていないのでしょうか?ルチアさん当人はめっちゃニコニコしてますが。何か睨まれてます?
一番最初にルチアさんの隣にいらっしゃった侍女が怒鳴ってもおかしくないと思ったのですが、今いませんね。爺やと一緒に出ていってしまったのでしょうか?
あれ、破談工作は?
その2、進捗ゼロ。




