おひとり様
「では、あとは若い二人で…」
「爺や???」
おい何逃げようとしてんだジジイ。僕は首根っこを押さえる勢いで爺やを止めました。爺やいなかったら現場が回りませんが???
誰が花瓶の水飲む三歳児止めるんですか?僕ですか??でもさっき止めたのは僕か……?
僕は敬語キャラであることを忘れそうになりながら爺やに耳打ちをする。いや敬語キャラって何?
「爺や、どこ行くの」
「大樹の王国の侍女の方に呼ばれまして」
「嫌だよ無理だよここにいて」
「ああ、坊ちゃまの我儘は十年ぶりでしょうか…」
爺やがハンカチで目を押さえ始めた。やめてください。今感動している場合ではないのですが。
「しみじみしてないで!僕本気で言ってるんだよ、本当に困るよ。誰が花瓶の水飲む子ども止めるの?」「先ほど坊ちゃまが止めたから大丈夫かと…」
「今度はテーブル食べようとするかもしれないでしょうが!」
お願い爺や、いかないで。僕の懇願も、今の爺やには聞き入れてもらえない。何故なら、この場にいる朝露の国の人間は爺やと僕だけだから。
少数で来たというのもあるけれど、あとの人間は皆父上のところについてしまっている。だからこの場にいる朝露の国の人間に用事があるなら、爺やが行かなければいけないんだ。わかっているけどさ……。
「わかった。だけど頼みがある」
「なんでございましょうか」
「父上に聞いてきて。このお見合い本気なのかって」
「坊ちゃま、国王陛下は…」
「お願い。父上に聞けないなら大樹の王国は本当にこのお見合いに対して許可をとったのか、だけでもいいから」
僕は爺やの肩を掴んで目を合わせる。そうすれば、爺やも頷いてくれた。どうやら、僕が本気だってことは理解してくれたみたいだ。
「とにかく、このままじゃダメだよ」
「……承知いたしました。坊ちゃま」
一礼をしたあと、爺やは大樹の王国の王宮侍女に連れられて退出してしまった。この場にいる朝露の国の人間は僕だけ。父上に期待はできないだろう。大樹の王国の護衛や侍女たちも同様に。それならば。
「ルチアさん」
「はーい」
「お話しましょうか」
「するー!」
僕自身の手で、何とかして見合いを破談にさせなければ。
でもどうやって破談にしよう。やり方全く考えてないぞ。
策なし!




