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フレアの戦い

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 前回のあらすじ


 きねが戦った。



 この世界の人間は、他の種族と比べて身体能力が低い。

 

 フレアは、弱い種族人間である。しかしながら、彼女は強いハンターであった。


 絶望の森、討伐隊初代隊長の孫として産まれた彼女は、物心がつく前から過酷な英才教育を施されて育つ。


 英雄である祖父と祖父の友人5人によって、剣術、槍術、斧術、棒術、格闘術、魔法などの戦闘スキルから、政略、軍略、サバイバル術、操船術、薬学、鍛冶など幅広い知識とスキルを叩き込まれた。


 さらには、15~18歳まで修行として、絶望の森の中で生活させられる。


 その経験と能力の高さから、24の若さでフレアは12回討伐隊隊長に選ばれた。


 死を告げるオオカブトの前にフレアが立ちふさがると、両者とも隙をうかがい少しの間にらみ合いが続く────先に仕掛けたのはオオカブト、巨体に似合わぬ速さで猛然と突進してくる。


 フレアは、軽やかな動きで右側に回避したが、その動きを相手は読んでいた。急旋回したオオカブトが、巨大な角でフレアを薙ぎ払う。


 身に迫る角、とっさに左腕でガードするが───無駄だった。銀色の鎧は砕け、全身の骨が折れ吹き飛ばされて丸太壁に激突する。


 全身の痛みに襲われる中で、フレアは師匠から教わった教訓を思い出す。──────上級レベル以上の魔物と長期戦をするのは愚か者。先手必勝、初撃に最大火力の攻撃をしなさい───


 (そうだったな。初手を相手に取られたのは失敗だった。このままじゃあ、師匠に怒られる。しっかりしないと…………ふぅー 良し、一撃で倒す!)


 地に伏せていたフレアが、回復魔法で怪我を治すと壊れた鎧を脱ぎ捨て、幅広の剣を握り再び戦場に立つ。


 深く息を吸った後、全身に気合を込めてフレアが吠える。


 「格闘術スキル、筋肉倍加! うぉぉーーーっ!」


 気合の大声と共に、服が破け全身の筋肉が盛り上がり、人間女性の体からオーガの様な体に変化していく。


 まだ生きていた獲物を見てオオカブトが、止めを刺すために再び突撃してくる。それに臆することなく、歯を食いしばり足に力を込め、フレアが空に飛び上がった。


 敵の反応よりも早く、両腕に限界以上の負担をかけて、オオカブトの頭上から斬る。


 「うらぁぁーーっ! 剣術奥義スキル、万象斬!」


 この世の全てを斬ると言われる剣術奥義、万象斬。


 威力は絶大で、最上級レベルの魔物でさえ大ダメージを受ける。しかし、強力な威力の代償は大きい。体の頑強なオーガでさえ、連発すれば両腕が壊れる。人間のフレアが使用すれば、1回で両腕が使用不可になり、回復魔法を使っても完治するのに3日かかった。


 諸刃の剣と言える奥義を使用する事に、フレアがためらわないのは、オオカブトの強さを知っているから。戦闘を長引かせれば、多くの仲間が危険にさらされる。隊長として、それだけは避けたかった。


 腕を犠牲にしたフレアの一撃は、オオカブトの頭部を真っ二つにする。


 ───はずだった。


 命の危機を感じたオオカブトは、角を犠牲にして必死に致命傷を避けた。


 (なぁっ!? しまった外したぁ! くそっ、もう腕が使えない…………ならば、蹴り殺す!)


 角を切り落とされたオオカブトが、怒りの反撃をする。大きく羽を広げ、魔法ウインドカッター(風の刃)を放つ。


 迫りくる無数の攻撃をフレアは回避しようとしたが、腕の痛みで上手くいかない。


 (ダメだ。避けられない!)


 動きの鈍い様子を確認したオオカブトは勝利を確信する。だがしかし、高速で迫る風の刃が命中する直前、フレアの姿が消えて代わりにワンコが現れた。


 突然現れたワンコを見て、オオカブトの直感が大音量で警報を鳴らす。


 ───この女は、非常に危険だ───


 離れた場所へ、フレアを無事に避難させたワンコが背中に冷や汗をかく。


 (ふぅ~、危ない危ない。ぎりぎり救助が間に合って良かったです。フレア殿に万一の事があったら、ご主人様に怒られるかもしれない。まぁ、ベルの回復技ならば、どんな状態でも簡単に回復しますけど)


 目の前にいるワンコは隙だらけだが、一瞬でも視線を逸らせば殺されると本能的に悟って、オオカブトは緊張で動けなくなった。


 不意にワンコが誰にも視認出来ない速度で、オオカブトの背中を全力で斬りつける。


 ───だが、予想以上に硬く、斬撃を弾き返された。


 「えっ!? 私の攻撃が効かない? チッ、硬いですね」


 敵の防御力が想像以上だと知り、ワンコは額から汗を流して驚愕する。


 オオカブトは、得体の知れないワンコの強さを警戒したが、自分にダメージを与えられない事を確認すると強気を取り戻し大きな威嚇音を出す。


 「ギッ、ギッ、ギッ、キィィーーーッ!!」


 「うるさい虫ですねぇ。調子に乗っていると、キンチョー〇を吹きかけますよ」


 オオカブトが、突進、魔法、爪攻撃、かみつき攻撃の連続攻撃を繰り出して襲い掛かった。


 ───しかし、ワンコは考え事をしながらでも余裕で回避する。


 (はぁぁ~~、斬撃でダメージを与えられない。…………少し、むかつきますね。やはり私は、他の仲間たちと比べて火力不足ですかぁ。バ火力のドラコが羨ましいなあ。さてと、必殺技を使えば簡単に勝てますが、もう1匹のために温存した方が良いでしょう。即死技を使う? う~ん、やっぱり斬り殺したい。巨大な虫に防御力の高さなど意味が無いと、教えてやるべきですね)


 敵の倒し方を考え付いたワンコが黒刀を構え、狂喜的な笑みを浮かべて反撃に移る。


 「死ね、…………固有技、影斬り!」


 ワンコが神速でオオカブトの影を100回以上、滅多切りにする。


 次の瞬間、自分が死んだことに気付かない早さで、オオカブトはバラバラの肉片になった。


 防御力無視の貫通攻撃、影斬り。敵の影を斬ることで、本体にダメージを与えるワンコの固有技。


 敵を倒し呼吸を整えた時、潜伏していた透明な魔物が不意打ちで強酸ブレスを放つ。だが、ワンコは容易くかわす。


 必中攻撃の強酸ブレスを回避され、透明な魔物は驚愕する。今まで、不意打ち攻撃からの必中攻撃で全ての敵を倒してきた。しかしながら今回、初めて回避され通用しない。


 透明な魔物は驚くが、仲間のモン娘たちと誠志郎ならば、必中攻撃を回避した程度で驚かないだろう。


 ワンコの回避能力は、必中攻撃程度で当たるほど甘くない。


 ワンコは多くの常時発動技を持っているが、その中で今回、役に立ったのが『不意打ち自動回避』と『必中攻撃無効』


 透明な魔物が混乱していると、ワンコが黒刀で斬りかかる。


 無数の斬撃で、全身から血を噴出すると敵の正体が見えてくる。本来の姿は、大きなトカゲ形魔物の様だった。


 斬り続けていたワンコが異変に気付く、トカゲ形魔物は再生能力が異常に高い。何度斬っても、傷がふさがっていく。


 いくら攻撃しても意味が無い事を確認したワンコは、敵から離れ大きなため息と共に愚痴を言う。


「はぁぁ~~、また火力不足だぁ。虫は硬いし、トカゲは再生する。まったく、嫌な敵ですね。…………そうだ、必殺技を使いましょう。むかつく敵に、天誅です!」


 トカゲ形魔物が打開策を考えていると、ワンコの両手が禍々しい闇で覆われていることに気付く。


 この時、全力で逃げるべきだった。しかし、もう遅い。


 極悪威力と言われる、必殺技の準備が終わってしまう。


 「さあ、天誅ですよ。 必殺技、漆黒狼の怒り!」


 瞬間移動のように一瞬でトカゲ形魔物に接近すると、闇で覆われた手で触れた。


 次の瞬間、トカゲ形魔物の最大HPが強制的に1となった。


 身に起きた事が理解できずに、動揺していると石を持ったワンコが満面の笑みで口を開く。


 「はい、さようならぁ~」


 石を投げつけられたトカゲ形魔物は、あっけなく命を落とす。


 ワンコの必殺技、漆黒狼の怒り、闇の手で触れた相手のHP最大値を強制的に『1』にするという、反則級の必殺技である。


 周囲に強敵の存在が無くなった事を確認した後、ワンコは誠志郎の身を案じて彼のもとに向かう。


 しかしながら、心配は無用であった。


 この頃、誠志郎が予想以上の活躍をしていた事を、ワンコは後で知ることになる。





  首領級の敵を倒したことで、激闘の戦いが終わっていく。


 


 



 


 


 


 



 次回予告 レイ、きね


 「熟成期間とか発酵を待つのは嫌じゃ。レイ、精霊の力で短縮できんか?」


 「はぁ、…………嫌です」


 「無理? 精霊女王なのに?」


 「可能です。失礼なことを言わないでください。そんなことは簡単ですよ」


 「うむ、よろしく頼む。それでは、次回予告、夜襲があった次の日じゃ」

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