9. 厳しい修行
「う〜ん、鍛冶を始めて一月にしては上出来、普通の鍛冶師としては微妙だな」
中々に手厳しい評価を頂いた。
自分の中ではかなりの出来だと思ったんだが……。
「技術は鍛冶レベルの高さもあってそれなりなのだが、感覚的に何かが足りないように感じる」
それは俺も薄々は感じていた。
鍛冶スキルには感覚的なものも付いてくるが、何もそれが全てではない。
鍛冶スキルが何でもかんでも教えてくれる訳ではないのだ。
鍛冶スキルを頼りに剣を打つと確かに出来の良い剣になるが、ワレリーさんに言わせれば、「それなり」らしい。
鍛冶スキルのその先を求めているのだ。
「ふむ。では鍛冶レベルを上げるのと並行してその『何か』を模索しようかな?」
それからは地獄の日々だった。
朝から晩まで剣をひたすらに打つ。
手がちぎれるくらいになっても打ち続ける。
気付いたら次の日の朝だった、なんてのはザラ。
酷い時だと、次の次の日の朝だった事もある。
工房に篭りっぱなしなので何日経ったなんて分からない。
それに日数を数える余裕もない。
ワレリー師匠は怒ると怖い。
淡々と怒る。
ニコニコしているが、威圧感が半端ない。
鍛冶の部屋は物凄く暑いのにワレリー師匠が怒ると体が震える。
本能が警鐘を鳴らしているのかもしれない。
俺はただワレリー師匠に言われるがままに無心になって剣を打った。
だが、そんな地獄の修行のおかげか、漠然とだが『何か』を掴めてきたように感じる。
鍛冶スキルもレベル8まで上がった。
レベル6,7のレベルアップの時には見てない。
ふと、《鑑定》でステータスを確認すると8になってた。
ひたすら剣を打っていた時にレベルが上がったのだろう。
「中々に良い物が出来てきたではないか。この調子ならあと三ヶ月ほどで完成かもしれんな?」
あと三ヶ月……。
今までがそんなに時間がかからなかったのでどうしても長い、と感じてしまう。
「長いな〜、って顔をしておるぞ。言っておくが、これは異常な速度だぞ。普通はレベル10になるには最低でも30年かかると言われている。今のレベル10で最年少でも42だったか?それを20にも満たない若僧が1年にも満たない期間でレベル10になろうなどとは前代未聞だぞ!」
それ言われると何か自分が凄いと感じられる。
だが、決して調子には乗らない。
これからレベル9,10と上がっていくのを考えると、恐らく今まで以上に修行が厳しくなる。
調子なんかに乗ってる余裕はない。
とにかく生き残ろう。
他の事はこの修行が終わってから考えよう。




