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異世界で鍛冶をしてみる  作者: 人の子
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6. 出立に向けて


トンバ師匠に呼び出されてから2日が経ち、どうやら向こうの師匠から連絡が入ったらしい。

すぐに準備して行ってこい、と言われた。

俺はまさか2日で連絡がくるとは思っておらず、急いで準備を進めようとするが、買い物に行くにしてもこっちの世界に来てからはすぐに工房に入って、ほぼ篭っていたので、この町については全然知らない。

申し訳ないが、カールさんについてきてもらい、この町について色々と教えてもらいながら買い物をしていた。

お金はトンバ師匠から貰っている。

俺も鍛冶レベルが4になってからは客に売れる剣を何本か打ったので、給料みたいなものは貰っていて、自分の金は持っているのだが、どうやら全然足りないらしい。

自分の金と言っても、本当に微々たるもので一週間ぐらい何とか食べていける、くらいしかないが……。

カールさんに同伴してもらってまず向かったのは関所だ。

一月経ってしまったが、払うべきお金は払わないといけない。



「おお、久しぶりだな」

関所に来てお金をどこに払えばいいのか分からず、近くの衛兵さんに尋ねると、ここに初めて来たときに色々と教えてくれたあの門番さんが呼ばれた。

どうやらこの門番さんは関所を通る時に起こる問題に対応する仕事を担当しているらしい。

まあ、すぐにこの人に行き着いて良かったよ。

「あの、払ってなかったお金を払いに来たんですが……」

「てっきり忘れてるもんだと思ってたぜ」

「忘れませんよ。お金を払わずに追われるような事になれば、大変ですから」

「いや、追いかけるような事はしないぞ。ただ、この関所を次通る時にかなりの額を払わされる事になるだけだ」

どうやらペナルティーが存在するようだ。

まあ、俺にはどうでもいい事だけど。

「じゃあ、お金を払っておきますね」

そう言って、お金の入った袋を渡す。

このお金は俺のお金だ。

自分の事はなるべく自分のお金を使おうと思ってる。

「ちゃんと1000コウ、入ってるな」

『コウ』はこの町、いやこの国の共通の通貨で、日本円にして『1コウ=1円』である。

唐突ではあるが、この町について色々と話しておこう。

この町はアルート、と呼ばれ、このトルメア王国の第二の都市とも言われている。

確かに見た感じだとかなり栄えているように思われる。

そしてこのアルートは王国の直轄地であり、王都から派遣された代官が治めている。

このトルメア王国は聞くところによると割と良い国のように思われる。

各貴族領に求める税金はそんなに高くないと聞くし、公共事業なんかも積極的に行っているらしい。

まあ、各貴族がどのような政策をとっているかまでは分からないが、少なくとも王国の直轄地は大丈夫だろう。

さて、これから向かう鍛冶の町はどういう立ち位置なのか。

少し心配になる。

「ちゃんと鍛冶レベルを上げたらしいな」

「はい、何とか無一文からは脱出できました」

すると、この関所にやって来てからどこかに行っていたカールさんが戻ってきた。

「どこに行ってたんですか?」

「ちょっと、ここの剣の状態を見ていたんだよ。ここの剣の一部はウチからの物だからね」

なるほど、初耳だ。

「あれっ、それじゃあ俺の打った剣もここにあるんですか?」

「いや、残念だけど置いてないよ。まだ信頼度が足りない。君が来てから一月しか経ってないからね」

確かにここはこの町を守る役割も兼ねているから、使う剣もしっかりとした物でないといけないのか。

使っている剣が簡単にポキッと折れると、今度はその剣を打った工房の責任になるからな。

まあ、そんな雑な仕事をするつもりはないが……。



関所をあとにすると、いよいよ買い物を始める。

とはいえ、そんなに大荷物でなくていいらしい。

俺としては結構な長旅を覚悟していたのだが、どうやら今回は『転移屋』に頼むらしい。

『転移屋』というのは、転移魔法が使える人が依頼者を送ってくれる場所だ。

転移魔法と言えば、俺も使ってみたいが、聞くところによると、あまり使い勝手のいいものではないらしい。

何でも転移先に特殊な魔法装置が必要で、個人で好きな場所に行けるという訳ではない。

目視できる場所ならいいが、壁を隔てたりなんかすると大変なんだそうだ。

よく転移した先に物があるとその物を押しのけて転移する、といったものがファンタジーの世界ではあるが、この世界では逆らしい。

つまり、道具無しの転移で転移の場所の高さを失敗なんかすると、足首から下がなくなるとかがあったらしい。

正直想像したくない。

そういったハイリスクを背負うよりはちゃんと魔法装置を使った方が安全、ということで今では道具無しの長距離転移を考える者はいない。

そういう訳で転移屋で行ける場所も決まっている。

しかも、転移魔法を使える者も希少という事もあって、転移先はかなり絞られる。

王都だと、結構な数の転移屋が存在するが、地方だと大体が王都行きだけだ。

このアルートは第二の都市というだけあって、複数の都市と繋がっている。

その中に鍛冶の町もあるらしい。

この世界では魔物が跋扈するって女神が言っていたからな、安全で何よりだ。

話は変わるが、冒険者もいないのに都市間の移動はどうするのだろう、と思っていた。

それこそ転移屋がない所なんかはどうやって行き来するのだろう。

そういった事を聞くと、仕事斡旋所で斡旋してくれるらしい。

そういや、日毎の仕事もあるって言っていたな。

ただ、都市間の移動の護衛はあまりしたがらないらしい。

護衛の仕事をしているのは大体が自分達もその行き先に用事がある人達だ。

冒険者のシステムを作ればいいのに、と思う。

今のままだと魔物の素材の安定した供給や都市間の安全な移動は見込めない。

今回、転移屋を利用する俺としては気にする事ではないかもしれないが……。



一通り買い物を済ませ、俺とカールさんは工房へと戻った。

荷物を置くと、早速トンバ師匠に呼ばれる。

「準備はできたようだな。それじゃあ明日の朝にドムングルへ向かってくれ」

結構予定を急ぐんだな。

ゆっくりしては駄目なのだろうか。

「もう少しゆっくりしたいって顔してんな。気持ちも分かるが、向こうの師匠はせっかちでな。早く行った方がいい」

まあ、確かに行って早々怒られることはしたくない。

「分かりました」

そう言って自分の部屋に戻った。









関所は基本、国境におくものでした。

書いている途中に気づきました。

書き換えるのも面倒なので、アルートの町は国境近くにあるという設定でいきます。

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