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勇者の俺より幼馴染が強すぎた件  作者: 丸いドーナツ


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3/10

初めての戦いは超レアモンスター

ハッと目が覚めた。


辺りを見渡すが、エリザの姿が見当たらない。


慌てて立ち上がろうとした、そのときだった。

俺の膝の上に、何かが乗っていることに気づいた。


見下ろすと、俺の膝を枕にして気持ちよさそうに眠っているエリザの顔があった。


……なんだ、そこにいたのか。


見張りをすると言っておきながら、座ったまま眠ってしまったようだ。

勇者失格だな、俺は。


とにかく、エリザが無事でよかった。

俺は膝枕で幸せそうに息を吐いているエリザを優しく見下ろした。


「エリザ、よく寝ているところ悪いが、そろそろ出発するぞ」


エリザはゆっくりと目を開けた。

目の前にある俺の顔をじっと見つめ、少しの間ぽかんと固まっていたが、次の瞬間、顔を真っ赤にして勢いよく起き上がった。


「ふにゃっ!? よ、よく寝ちゃった……! あっ、ごめんなさい! 私、こんなところで寝てたなんて……!」


焚き火の後始末を済ませ、俺たちは再び王都へ向けて歩き始めた。


相変わらず、魔物どころか野ウサギ一匹姿を現さない。

そんなとき、エリザが向こうの崖沿いの道を指差した。


「ねえ、アルク。魔物もあなたを恐れて出てこないし、あっちの崖沿いを進めば早く着くはずよ! 私も村で鍛えてきたから大丈夫!」


「本当に大丈夫なのか、エリザ? ……まあ、これだけ静かなら魔物も出ないか。よし、ショートカットするか」


*


崖沿いを指差しながら、私はさっきの膝枕を思い出していた。


ふふっ、アルクの膝、すごく温かくて気持ちよかったなぁ。


睡眠魔法で熟睡させたら、アルクったら座ったまま起きなくなっちゃったんだもん。

その可愛い寝顔を眺めていたら、ちょうど膝が空いていることに気づいちゃって……。


ちょっとだけお邪魔するつもりだったのに、幸せすぎて私まで一緒に寝ちゃった!

起こされたときは、心臓が跳ね上がったなぁ。


……よ、よだれとか垂れてなかったよね?


私は唇をきゅっと噛み、緩みそうになる頬を必死に抑えた。


さて、と。


崖沿いの曲がり角には、この間私が捕まえておいたレアモンスターを、逃げないようにガチガチに縛って配置してあるからね。


アルク、レベリング頑張ってね♡


*


崖沿いを進んでいくと、曲がり角でエリザが突然、俺の前へ駆け出した。


「おい、エリザ! 危ないぞ!」

「アルク、私は大丈夫だよ! あなたがいれば、ほんとに何でもできちゃうんだから!」


そう言いながら、エリザは曲がり角の向こうへ走っていった。

すると直後、悲鳴が響き渡る。


「きゃー! アルク、モンスターがいる! 助けてー!」

「だから言っただろ! 俺から離れるな!」


俺はエリザの前に飛び出し、剣を抜いて立ちはだかった。

しかし、目の前のモンスターはなぜかその場で硬直し、驚いたように動きを止めている。


「こいつは……かちこちモグラじゃないか! しかも金色! 超レアモンスターだ! 倒せば経験値がものすごいらしい!」


勇者になって初めての戦闘で、こんな大物に出会えるとは。


「縁起がいいぜ! エリザ、下がってろ!」


こいつは地中に潜り、すぐに逃げてしまうと聞いている。

だったら、潜られる前に一撃で仕留める!


俺は剣を両手で握り締め、金色のかちこちモグラ目がけて勢いよく振り抜いた。


――その瞬間。


全身の血が沸き立つような、とんでもない力が湧き上がってきた。

刃がモグラの硬い外皮を捉える。

傷をつけることすら不可能と言われる金色のモグラが、まるで豆腐のように真っ二つに切り裂かれた。


「……えっ?」


俺自身が一番驚いていた。

こんなに簡単に斬れてしまうなんて……。

勇者とは、一体どれほど規格外の力を秘めているんだ!?


ふと手元に目を落とすと、剣の刃がバキバキに砕け散っていた。

父さんの形見の剣を、最初の戦闘でダメにしてしまった……。


(……だけど、大切な人を守るために使ったんだ。父さんだって絶対に許してくれるはずだ)


俺は後ろにいるエリザの様子を確かめた。怪我はないようだ。


「エリザ、大丈夫だったか?」


その直後、右手の勇者の紋章がまばゆく光り輝いた。

全身に温かい奔流が駆け巡り、力がみなぎってくる。

頭の中に、新しいスキルや魔法の知識が津波のように流れ込んできた。


(すげぇ……! 一気にレベルが跳ね上がったぞ……!)


気分はもう、一端の勇者だ。

倒したモンスターの残骸の横には、キラリと光る金色のペンダントが落ちていた。


「これは……幸運の首飾りじゃないか!」


滅多に手に入らないと言われる伝説のレアアイテムだ。

俺がペンダントを拾い上げた、そのときだった。


突然、背後からエリザがぎゅっと抱きついてきた。


「アルク、大丈夫!? あんなに強そうなモンスターを一発で倒しちゃうなんて、さすが私の勇者様!」

「エリザ、このペンダントを受け取ってくれないか?」

「えっ?」

「幸運のお守りだ。俺はこれから勇者として旅立つ。ずっとお前を守ってやれるわけじゃないからな」

「ありがとう! すごく嬉しい! でも、これはアルクが勇者として初めて倒したモンスターから出たものだから、アルクが持つべきよ。私は大丈夫だからね!」


*


ああ……抱きついたアルクの背中、すっごく逞しいなぁ。

ずっとこのままでいたい……。


それにしても、さすが私の勇者アルク!


私が最大級の神聖強化魔法をかけてあげたとはいえ、あの金色の硬いモグラを一刀両断しちゃうなんて、素敵すぎる!

普通の剣じゃ、私の強化魔力に耐えきれなくて割れちゃったみたいだけど、それもカッコいい!


これでアルクのレベルも一気に30まで上がったし、当分の安全は確保できたかな。

王都の並の兵士たちよりも、ずっと強くなったはずだもんね。


それに、あんな高価なペンダントを真っ先に私にくれようとするなんて……。


もしかして、アルクも私のことが好きなのかな!?


きゃーっ! どうしよう!


……でもね、アルク。

そのペンダント、実は私がドロップ品に見せかけてこっそり置いておいた、私からのプレゼントなの。


だから、お守りとしてずっと大事に持っていてね♡


*


とりあえず、ペンダントは当分俺が持っておくことにした。


王都でエリザと別れるときに渡せばいいだろう。


俺たちは再び王都へ向けて歩き始めた。


崖沿いの道を抜けると、遠くに大きな城壁が見えてきた。


「おっ! エリザ、見ろ! 王都だ!」


どうやら、近道を選んだのは正解だったようだ。

読んでいただき、ありがとうございます。


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今後ともよろしくお願いします。

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