↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きみと青いそらを永遠に見られますように〜本名を名乗れない迷宮で、私は大切な人を失うたびに時を遡る〜  作者: 福サーモン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/18

ep9 最後の夜の記憶 〈5〉

「よーし、パーティーの準備はできたし、早速始めような!」


佐紀が大声を出してパーティー開始の合図を出した。


「もちろん里奈も参加するよな?」


佐紀は里奈さんの方を向き、期待の眼差しを向けながら言う。


「いや、私はこれから用事があるから無理だよ。もう一人の研究仲間のところに行って確認したいことがあるんだ」


そう言いながら里奈さんは研究書類らしき紙が大量に入っているファイルをリュックサックに入れて慎重に背負う。


「じゃあ私行ってくるから、あとこれ、ここのカギね、私もう一つ持ってるから使っていいよ」


里奈さんはカギを佐紀に「はい」と渡した後、そそくさと研究室を後にした。


「まあこうなるとは思ってたから予想の範囲内だな!」


「あの人、ちょっと変わった人だけど、根は優しいんだろうな」


優花がそう言うと、佐紀が「その通りな!」と言いながら親指を立ててポーズを取った。


「じゃあ里奈は行っちゃったけど、パーティー始めるかね!」


佐紀が少し寂しそうに言った後、優花が元気よく返事を返した。


「そうしよう!」


                ◇


時刻は深夜十二時頃、私たちはスイーツを食べながらゲームをして盛り上がっていた。


遊んでいるゲームは、研究室になぜか置いてあったジェンガだ。


「やばい、そこ取ると絶対バランス崩れて落ちるからやめた方がいいよ!」


優花は佐紀になぜかアドバイスをしている。このゲームは崩れたほうが負けというルールなんだけどなあ。


「頑張れー」


私は棒読みで応援した。


因みにこのゲームで勝った人は、隕石が落下しなかった場合に限り、全員から現金三千円が贈呈されることになっている。


私はぜひともその時は現金三千円が欲しいので、アドバイスなんてしない!


「あぁああ! 崩れたぁああ!」


佐紀が優花のアドバイスを無視してそのまま動かしたため、優花の予想通りバランスが崩れ、一気に倒れていった。


「あー、だから言ったのにー」


「聞いとけば、良かったな……」


「佐紀は脱落で、じゃあ最終マッチで私と優花だね」


「そうだね、負けないから!」


優花の決意表明の後、全員でジェンガを積み直してから、数分のスイーツ休憩を挟んでから試合は開始された。


「絶対負けないから!」


「私も!」


「二人とも本気だなー」


佐紀はスイーツを食べながら言う。


「じゃあ、先攻後攻決めよ、さっきの方法にする?」


私が言うと、優花が返事に答える。


「うん、さっきと同じでじゃんけんで負けた人が先攻でいいよね?」


優花が確認をしてきたので、私は「うん」と言いながら首を縦に振った。


「じゃあさっそく!」


優花がじゃんけんの構えを取ったため、私もじゃんけんの手を構えた。


「「先攻後攻決めしょ!」」


「やったぁああ! 負けたから先攻だ!」


「負けました」


私は無念にも先攻を掴み取ることはできなかった。試合には勝ったのに勝負に負けた感じ、悔しい。


「よーし、勝負開始!」


佐紀が合図をする。最後の決戦の幕が上がった。


               ◇


 ゲーム開始から約三十分が経過した頃、もうバランスが崩れて倒れてもおかしくない状況にあった。


優花が呻き声を上げながら取る場所を決めていると、佐紀が口を開いた。


「これはもう麻衣が勝つ未来しか見えないな」


「佐紀、ちょっと静かにしてて、今私史上一番集中してるから」


「お、おう」


優花は悩んで悩み切った後、ゆっくりとジェンガを取り出した。


「ふー、集中」


「いけるか?」


佐紀はスイーツを食べながら動向を見守っている。


「よっし、ぎり耐えたー」


嘘でしょ、私やばいんだけど。


「はい、次麻衣の番ね!」


優花は勝ったと確信した顔を浮かべて言った。


「絶対取って見せるから」


私はバランスが保ちそうな場所を慎重に探す。絶対に崩れないだろうなという場所がなかったため、私は自分の運に頼ることにした。


「え? そこやるの?」


「攻めるんだなー」


私はゆっくりと手を動かし、取ること以外考えなかった。


「ぎゃああ!」


「崩れたぁああ! 私の勝ち! 勝利! 六千円貰い!」


私は悔しさをぶつけるように床に倒れこんだ。


「あぁああ!」


私が叫ぶと、二人は面白かったのか、大爆笑をかましていた。普段叫ぶなんてしないから余計面白みがあったんだろう。


「麻衣が叫んでるところ初めて見たかも、ふふっ」


「それな、面白すぎるな」


「もぉおお!」


私は叫んだ自分が途端に恥ずかしくなり、両手で顔を覆ってうつむく。


「あ、私飲み物なくなっちゃったからコンビニ行くけど一緒に行く人ー!」


佐紀が空になったペットボトルを手に持ちながら言う。気分転換に外に出てもいいかもしれない。


「私行きたい」


「優花は?」


「私はスイーツを食べます。勝利をしたので嬉しい気持ちに浸っていたいです」


「お、おう…了解な、じゃあ行こうぜ、麻衣」


「うん」


私はゆっくりと立ち上がり、佐紀の隣に並ぶ。


「じゃあ二十分くらいで戻ってくるな、留守番はまかせた!」


「はーい、気を付けてね!」


私たちは優花の元気な返事を聞いてから、研究室を後にした。

もし少しでも続きが気になる、面白かったと思ったらブックマークや評価で応援していただけたら励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。