ep8 最後の夜の記憶 〈4〉
私たちは佐紀の友人であり大学院生の江本里奈さんに会いに研究室の入り口へと向かった。
研究室は普段行ったことがない場所なので少しドキドキしながら歩いていると、佐紀は一つの扉の前で止まった。
「ここだな、着いたこと連絡するね」
「「了解」」
佐紀は迷いのない指の動きでスマホを操作する。
「よし、既読ついた、たぶんもう少ししたら扉開くよ」
その言葉から数分間経った後、扉が「ガチャ」と音を立てて開かれた。
「あ、佐紀ちゃん久しぶり、あと、その友達も、初めまして、聞いているとは思うけど、江本里奈と言います。よろしく」
扉から出てきたのは、背が高くて四角いメガネがよく似合っている大人な女性だった。
「よろしくお願いします、私佐紀の幼馴染の清水麻衣と言います、今日はわざわざありがとうございます」
私が自己紹介をすると、里奈さんは会釈を返してくれた。
「私は同じく佐紀の幼馴染で斎藤優花です。お願いします」
優花が自己紹介をすると、里奈さんも先ほどと同じく会釈を返した。
「入っていいよ、少し汚いけど、許してね」
里奈さんが中に入る後に続き、佐紀、私、優花の順番で研究所の中へ入っていった。研究室の中は里奈さんが汚いと言っていた通りで、本や紙、何に使うかわからない道具が床に散らばっていて避けるので精一杯だ。
「あ、ぜんぜん紙とか踏んでいいよ、私がただ整理してないだけだから、それに大事な書類は落ちてないと思う」
「あ、はい、気にしないようにします」
私が返事をすると、里奈さんは「うん」と返す。
「ねえ里奈、明日死ぬのになんで研究してるん?」
「いや、死ぬとは限らないでしょう? あと、私は研究が好きだから夢中でやってて、明日本当に死ぬとしても、私は研究を今して後悔はないかな」
一つのことを好きになって、夢中になってやっている、かっこいい人だな。私も夢中になってやれる趣味が欲しかったな。
「で、今日はなんで大学に来たの?」
え? 話してなかったの?
私と優花は佐紀を不思議な目で見つめる。
「えーと、明日隕石が落ちて死ぬから、最後に大学行ってパーティーしようってことになったんだな!」
佐紀が里奈さんに事情を説明すると、里奈さんは「なるほどね」と小さくつぶやいた。
「つまり、私は上手く使われたというわけね」
里奈さんはため息をついて言った。
「はい、すいません」
佐紀は小さくなって言った。
なんか、研究の邪魔だったのかな、申し訳ないな。
「まあ、今日は許そうかな、だって明日死ぬんでしょ?」
里奈さんがそういうと、佐紀は目を輝かせて「里奈様わかってるー!」と調子よく言った。
「怒るわよ」
「ごめんなさい」
今のは本当に怒ってそう。
私たちは里奈さんに研究室をパーティー会場にする許可を貰った。
流石に床が散らばっていすぎなので掃除しようと里奈さんに提案をするとすぐ返事が返ってきた。
「掃除? 明日死ぬんだからこのままで大丈夫よ」
根に持ってるなあ。
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