ep7 最後の夜の記憶 〈3〉
「よし、優花、麻衣、作戦通りにいくな?」
私と優花は首を縦に振る。
佐紀の作戦プラン一から三の内容はこうだ、プラン一は一階のトイレの窓から侵入するという方法。トイレの窓はカギを閉め忘れることが多いらしく、カギさえ閉まってなけば大学内には侵入できる。プラン二は、佐紀の友人である大学院生の先輩がこの時間でも研究をしている為、その先輩になんとか連絡をして開けてもらうという作戦。プラン三は窓ガラスを割って無理矢理侵入するという作戦だ。
「いや、プラン三だけ普通に器物損壊罪だね」
「私も思った―」
佐紀は「てへっ!」と右目をウインクさせ、舌を出した。
いや可愛いポーズ取ってごまかしてきた。
「まあ、真面目に言うと、一番可能性があるんはプラン二だな」
えーと、大学院生に佐紀の友人がいるから、その人にお願いしてカギを開けてもらうっていうやつ? 私もこれが一番安全で一番可能性がある策だと思った。
「とりあえず先に早くプラン二が実行できるようにその子に連絡しておくな」
佐紀はスマホを黒色のトートバッグから取り出して操作する。
「よし送った、とりあえず待ってる間にプラン一のトイレの窓から侵入作戦を決行しようや!」
佐紀は連絡が済んでスマホをトートバッグへ戻す。
「とりあえず、食堂の近くにあるトイレから見る?」
優花が迷いもなく言った。
「よし! じゃあそこからみよう、ちななんでそこ選んだんだ?」
優花は「うーん」と少し考えてから言う。
「お腹空いたから、かな?」
私と佐紀はその返答を聞いた数秒後に笑いを耐えきれなくなり、大笑いした。
「ちょっと笑いすぎ! バレちゃうでしょ!」
優花は顔を赤らめ、恥ずかしそうに大声で言った。
「は、早くいくよ!」
「「はーい」」
私たちは食堂のトイレに向かって歩き出した。
◇
私たちは食堂付近のトイレの窓の前に無事ついた。けれど一つ問題が起きた。
「窓の位置、意外と高くない?」
私は身長約一五五センチ、優花と佐紀も大体一緒の身長差。団栗の背比べではあるが佐紀が一番この中では高い。
佐紀が窓に限界まで手を伸ばしてみるも、ぎりぎり届くレベルだった。
「はあ、はあ、無理だなこれ、なにか下に置かないと絶対無理だ」
ここらへんに踏み台代わりになりそうなものなんてあったかな。
私は周囲を見渡すも、踏み台に使えそうなものは置いていなかった。
「あー、プラン一が早くも失敗か!」
佐紀は頭を手でわしわしながら言った。あー、せっかく整ってた髪が……。
私は佐紀を見て少し残念な気持ちになりながらも、良い方法がないかを考えた。
考えていると、優花が「あ!」と声を上げ、口を開いた。
「プラン一は、諦めよう!」
「「いやなんで?」」
ハモった。
その時、佐紀のスマホが「ピロン」と音が鳴った。メッセージアプリの通知音の音だ。
「あ、ちょっと待って、プラン二が動くかも」
佐紀はトートバッグからスマホを取り出して迷わず操作をする。
「いいよ、カギ開けてあげるから来て、だって!」
私たちは顔を見合わせ、大きく口を開けた。
「「「やったぁあ!」」」
プラン二、実行開始。
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