ep4 強敵
「みんな、まだなにかいるよ」
フレアはゴブリンが来た方向を見ながら言う。
「まだ来るの?」
ルディアは不安な顔をしながら言う。
『グガァアア!』
「なんかさっきのやつより大きくない!?」
【ゴブリンキング・レベル三〇・一体・戦闘開始】
「ゴブリンの王様ってこと?」
「ルディア、エリーゼ、ゴブリンキングはさっきのより強いから気を付けて!」
「「わかった」」
『グガァアア!』
ゴブリンキングは雄たけびを上げ、巨大な身体とは思えないほど素早い速度で私たちに向かって来た
。
「体重凄そうなのにすごい速くない!? 怖いんだけど、私ルディアのそばにいる! 守って!」
ルディア、さっき攻撃当たったからか怖がってる。私が守らないと。いや私も怖いけどさ。多分一番怖いのはルディアだ。
ゴブリンキングはルディアに向かって先ほどのゴブリンとは比べ物にならない大きな木の棒を素早く振るう。
「ルディア!」
ルディアは思いっきりゴブリンキングの攻撃に当たり、高く飛ばされる。
「キャアアア!」
ルディアは悲鳴を上げ、身動きがうまく取れない状態になった。
「小巻!」
すると、フレアがルディアに向かって魔法を放った。小さな渦巻がルディアの下に鎮座し、落とされる前に浮遊状態にさせて、床に身体を預ける。
「はあ、はあ、ありがとうフレア」
ルディアがフレアにお礼を言うと、フレアは笑顔で返事に答えた。
「どういたしまして!」
『グガァアア!』
休む余裕などなく、またしてもルディアに向かってゴブリンキングが木の棒を勢いよく投げつけた。
流石に狙われすぎではないだろうか? 何か呪いでもつけられてるのかってくらい狙われてる気がする。
「私ばっかり狙うなぁ!」
ルディアは木の棒に右手を向け、魔法を放つ姿勢を取った。
「当たって!」
ルディアの右手から、強い光が放たれた。
「またフラッシュ!」
木の棒はルディアの顔面に直撃し、その勢いで床に倒れこんだ。
「ルディア! 大丈夫?!」
ルディアはピクリとも動かず、とても大丈夫ではなさそうだった。
「フレア、どうしよう、ルディアが!」
「落ち着いて! エリーゼはルディアのそばに行って守ってあげてて! 私は一人でゴブリンキング倒すから大丈夫!」
「一人なんて無茶だよ!」
「でもどっちかがルディアを守ってないとダメでしょ!? また違う敵がルディアを狙ってきたらどうするの? ここは知り合いで攻撃魔法が出せるエリーゼが守ってあげれれば一番いいの!」
確かにそうかもしれない。私がいたほうが安心するかも。
「わかった、私がルディアを守ってるから絶対ゴブリンキングに勝ってよ」
「うん、わかった!」
私はルディアの方へ走って移動して、顔をみつめる。
「痛そう、死んでないよね? これ」
私はルディアの鼻に自分の顔を近づけて、呼吸をしているか確認をした。
「息、してない」
心臓も動いているか手を優しく当てて確認するが、動いていなかった。
「死んでるって、こと?」
私は隕石が落ちる前の夜のことを思い出した。あのとき皆と思い出を話し合って笑って生きていたのに、私の目の前で……。そんなの嫌だよ。
涙をこらえながら、私は必死に正気を保つ。
ふと、フレアの方を見てみると、ゴブリンキングと戦っている姿があった。
どうしよう、なにか回復魔法とか、生き返らせる方法とかないかな。いや、絶対あるはず、考えろ私。
……そういえば、ステータスのスキルの欄に、タイムパラドックスって書いてなかった?
私は確かめるべく、心の中で『スキル欄を表示』と唱えた。
【スキル・タイムパラドックス】
タイムパラドックスって確か、過去とか未来に行ける能力のことだよね? これを使えばルディアを死なせずに済むかもしれないってこと?
【スキル・タイムパラドックスを使用しますか? はい・いいえ】
私は心の中で、『はい』と唱えた。
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