<緊急会議>
6月末のある日、ゴンベが2階のリビングで寛いでいると、突然ジェムの声が頭に響いてきた。
『ゴンベ! 大変ニャン。緊急会議ニャン!』
慌てて玄関へ行き、ドアを開けると、既にジェムは玄関前に来て待機していた。
「どうしたジェム?」
と声を掛けつつ中へ招くと、ジェムはトコトコとポーチを上って玄関の中に入ってきた。
何時ものようにたたきで足を拭くと、ジェムは「にゃあ」と一鳴きして、2階へと階段を上がって行く。
ゴンベも後ろから階段を上がると、リビングの扉前でジェムが待っていた。
6月に入ると暑さが酷くなってきたので、リビングでは既に冷房が入っており、扉がしまっているため、ジェムは中に入れなかったのだ。
ゴンベが扉を開けて、中へと招き入れると、ジェムは勝手にテーブルへと進んで、ピョンとテーブルの上に飛び乗ってしまった。
何時もはゴンベが抱き上げて移動させるのだが、今日は妙に気が急いているようだ。
ゴンベは黙ってキッチンへ行くと、ジェムのために買ってある「おやつ」を取り出し、ポットのお湯を水で薄めた白湯も用意した。
「今日はチュールボールと言うのを買ってみたけど、どうかな?」
小皿に数粒入れてジェムの前におやつを出すと、ジェムは何時ものように、まずは匂いを嗅いでから食べ始めた。
『うむ。なかなか美味しいニャ』
先程まで憮然とした表情をしていたのだが、言葉通りに美味しかったのか? 明らかに嬉しそうな表情に変化していた。
その後白湯も飲み、ようやく落ち着いたのか、ジェムは話し始めた。
『ゴンベ! 大変なことが起こったニャン』
「そんなに取り乱すなんて、余程の事なんだろうな?」
『そうニャ! 裏切り者が居るニャンよ』
「裏切り者? ジェム達の仲間の中に、裏切り者が居ると言う事かい?」
『そうニャ。ジェム達の情報が、人間にリークされてしまったニャン』
「情報漏洩? ジェム達の活動が、人類に暴露されてしまったと言うのかい?」
『どうしようゴンベ。このままだと、我々の活動ができなくなってしまうニャン』
ジェムは頭を抱え込んでしまった。しかし、黒猫が両前足で、頭を抱える姿は、妙に可愛らしく、微笑ましいものであった。
その姿に癒されて、ゴンベは不覚にも相好を崩してしまった。
しかし、必死で笑いを堪え、深刻な表情を装いながら声をかけた。
「で、どんな情報がリークされてしまったと言うのかな?」




