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<運命の日>

11月14日。今朝は何時もより少し遅めの午前7時に起きた。遅くなった理由は、単純に寝る時間が遅かった反動である。


昨夜遅くまで起きていたのは、昨日がジェムから聞いていた、ジェムたちと人類の正式なファーストコンタクトの予定日だと思いこんでいたからである。


だが、結局は何も起こらなかったので、その時点でようやく日本とアメリカの時差を思い出した。それで、これ以上は起きていられないと思い、そのまま寝ることにしたのであった。


そして今朝である。起きるとすぐにテレビのニュースを見たり、ネットで情報を探したりしたが、特に宇宙船が現れたと言う情報は無かった。


そして9時前になると、ジェムがトコトコとやってきた。


「なあジェム。まだホワイトハウスへは行っていないのか?」


ゴンベが聞くと、ジェムはテーブルの上に置いてあった、テレビのリモコンを勝手に操作して、テレビを点けた。


『俺は、今日は行かないニャン』


「そうなの? でも、まだ何の報道もされていないけど……」


『ああ、そろそろ始まるニャン。だからテレビを点けたニャンよ』


「え! 今から?」


『そうだニャン。今はアメリカ時間で11月13日の午後7時頃ニャンよ。変な時間に行なうと、日本で確認できニャいから、この時間帯にしたんだニャン』


とその時、急にテレビが報道室に切り替わり、アナウンサーが「臨時ニュースを申し上げます」と緊張した顔つきで話し始めた。


『お! どうやら始まったようだニャン』


ジェムは食い入るようにテレビ画面を見つめている。


テレビには衛星放送の画像が映し出されているようだった。それは明らかにホワイトハウスであり、その上空に灰色の雲と、その中に無数の光の点滅が動いているのが見えている。

既に地上からはスポットライトも当てられており、何処かの映画で見たような、荘厳な印象すら感じさせる姿が映し出されていた。


「おい! これって……」


ゴンベは、そこまで言うと、言葉を失ってしまった。


『そうニャン。ジェムの仲間たちが、一番大きな宇宙船で乗り込んできたニャンよ』


ジェムは如何にも自慢げに胸を反らせ、ドヤ顔で説明した。


「本当にジェムはここにいて良いのかい? ジェムって監視長なんだろ?」


ゴンベはてっきりジェムが中心になって、アメリカに乗り込むと思っていたので、ここにジェムがいることが信じられなかった。


『今日は人類との会談設定を依頼する為の訪問ニャン。直接話をする訳では無いから、ジェムが行く必要も無いニャンよ』


「そうなのか?」


『そうニャン。まあ、実際に人類代表との会談時には、ジェムも当然立ち会うニャンよ』


その後、宇宙船からは広範囲に念話で要件が伝えられた。


その主たる内容は、自分達が宇宙の様々な種族から構成される連合組織であり、人類に対して太古の昔から見守ってきたこと。そして人類の行いには失望していることを伝えた。


最後に人類に対して詳細な経緯の説明もしたいので、人類代表との会談を求めていることが伝えられた。会談相手としてはG7の首脳を指名した。


その段取りを、アメリカ合衆国の大統領が主導で行うように依頼した。期日は10日以内。場所はホワイトハウスに集まった後、実際の会談場所は宇宙船内で行いたいと言う話である。


また会談には、1社のみ報道関係者の同行を認めるので、会談内容は全世界へ報道できる事を望んだ。具体的な報道方法は、報道機関が決定され次第、直接詳細を伝達すると言う事であった。


10日以内に日時を設定したら、今から届けるUSBメモリー内に記された連絡先に連絡するようにと結ばれた。そして、宇宙船からは小型のドローンが飛翔すると、宇宙船を見つめているホワイトハウスの関係者に小さな包が届けられた。中にはUSBメモリーが入っていた。


宇宙船がホワイトハウス上空に滞在していたのは、約30分程度であったが、一通りの要件を伝えると、


『尚、人類が我々の呼びかけに応じない場合は、年内にも予定の行動を取らせてもらう事になるので心得よ』


最後にそう言い残して、サーッと上昇して行き、そのままスッと消えてしまった。


『終わったニャン』


ジェムは満足そうにテレビを見つめていた。


ゴンベは、まだ頭の整理がついていないのか、少しボーッとした顔つきで、やはりテレビ画面を見つめている。

しばらくの沈黙の後、ゴンベがようやく口を開いた。


「なあ、これで大丈夫なのかな? なんか、一方的に言いたいことだけ言って、サッと消えてしまったみたいだけど……」


ゴンベが心配気にジェムに聞いた。


『まあ、大丈夫じゃないかニャ? 伝えたい事は伝えたニャンよ』


「なら良いけどな……」

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