<最後の審判>
今回が最終話になります。
この事件は、世界中を震撼させた。今まで都市伝説として語られてきた、宇宙人が目の前に姿を現したのである。
しかも、人類に対して会談を求めつつも、それは一方的な要求を伝えただけであり、有無を言わさない厳しさを感じさせる対応であった。
「これは、きっと宇宙人による降伏勧告であろう。もし人類が従わないのであれば、彼らは人類を滅ぼすつもりなのだ」
「とても友好的な態度には見えませんでしたな? ここは我々人類が、総力を上げて彼らの野心を砕いてやるしかありませんぞ!」
「もう駄目だ……あの巨大な宇宙船を見たか! とても人類の科学力では対抗できるものではない。この上は、何とか彼らと交渉して、できるだけ穏便に済ませるようにするしか無いであろう。そのためなら、地球の一部地域を、彼らに提供してでも、共存の道を探るべきだ」
等と、人々は勝手な妄想を描き、恐れ、怒り、嘆き……あらゆる感情を抱きながら、政府に対して、声を上げていった。
そしてゴンベの住む日本でも、大きな騒ぎに発展していた。
そんな中、ジェムは何時ものようにゴンベの元を訪れており、テレビの報道番組を一緒に見つめていた。
『だいぶ世間が騒がしいようだニャン。まだ会談の予定を求めただけニャン』
「いやいやいや、あれだけ強権的な態度で登場して、有無を言わさずに会談の調整を命じたのだぞ。そりゃ大騒ぎになるだろうよ」
『だが、ああでもしないと人類は真剣に動かないニャンよ。ゴンベも同意していたではないニャンか』
「ま・まあ、あの時は、派手で良い演出だと思ったさ。でもな、実際に映像で見たら、やはりやり過ぎ感は否めなかったぞ」
『今更言われてもニャン。もう時は戻らないニャン』
「もし、人類が会談を拒否したり、攻撃的な対応をしてきたら、ジェム達はどうするんだ?」
『ん? 前にも言った通り、人類が話し合う気も無く、ジェム達を排除しようと動いてくるならば、その時は予定の計画をサッサと実行するだけニャンよ』
「いきなり殺人電波の放出という事かい?」
『そうなるニャン。元々会談を求めたのは、生き残った人類への置き土産をする時間を与えるためのものニャン。特に大事なことは、残された人類が、今回の事態がなぜ引き起こされたのか? 二度と同じ轍を踏まないような戒めを残す事ニャン』
「確かにそうだね。まあ……良いか。どうせ人類自身が撒いた種だからね。どうなろうと、やれることをやるしか無いよね」
『そう言う事ニャン。人類がみんなゴンベのような性格なら、こんな事態にはならなかったニャン』
「あははは。そうとも言えないぞ。俺だって今は枯れているから、こんなだけど、若い頃ならもっと野心的だったと思うからな。単にこの年では体も動かないし、残された時間も少ないから、ジタバタしないだけの話だよ」
『そうかもしれないニャン。でも、元々の素養があるから、今のゴンベがあるので、やはりゴンベは他の人類とは違うように感じるニャンよ』
「まあ、そう言う事にしておくよ」
そうこうしている中、時間は無常にも過ぎていった。各国それぞれに、様々な議論もされていたが、期限を切られての対応でもあるため、とりあえずアメリカの大統領主導で、各国とも調整を経て、期限いっぱいの10日後の午前10時を指定して、会談を行なうことが報道された。勿論時間はアメリカのワシントン基準時間である。
その日もジェムはゴンベの元に来ていた。
「日時が決まったね」
『そうニャン。実はその前に、色々と細かい要望が出ていたニャン。でも、全部拒否したニャン。別にジェム達としては、話し合わなくても良いと思っていたからニャン』
「そうなのか? まあそうかもな。話し合う気は最初から無いのだものね。単に少しだけ人類に準備期間を与える猶予に関して、調整しても良いと言う程度だったのだろう?」
『そうニャン。でも人類が色々と足掻くのも当然ニャン。当日はホワイトハウス上空で、いきなり攻撃されることも有り得ると思っているニャンよ』
「その時はどうするのだ? 反撃して、いきなり殺人電波を放出とか?」
ゴンベは恐る恐るという感じで聞いてみた。
『そこまで極端な事はしないニャン。攻撃されても影響は無いニャン。そのまま攻撃して会談を放棄するなら、最後勧告だけして引き上げるニャン。以降は交渉することは無いニャンよ』
「なるほどね。まあ、素直にジェム達の話を聞くのが一番と言う事だよね。でもな……人類の性格として、攻撃してくるんだろうな。奴等は本当に馬鹿だからな」
『あはははは。ゴンベにかかったら、人類もかたなしニャン。でも、それが人類の本質なんだろうニャン』
そして会談の当日……ゴンベは一応午前0時になってもテレビを点けたまま待機していた。
これから、いよいよ人類の未来をかけた会談が始まる。
と言っても、ほとんど人類には選択の余地もないのだろうと思う。今までの行いを糾弾され、宇宙人達から、非常に厳しい対処を聞かされるのであろう。
その内容は全世界に放送されるのだから、きっと世界中で大混乱が発生すると思われた。
それは拒否もできない決定事項である。おそらく人類が抗おうとすれば、より厳しい対応が待ち構えているだけであろう。
「あ~あ……どういう決着になるのかな? まあ、多分来年の正月に『格付けチェック』を見ている事は無いのだろうな……あ! 箱根駅伝も無しか……って生きていれば、めっけ物かも知れない状況だからな。最後の神頼みでもしておくかな」
等と、誰かに聞かれたら、不謹慎だと怒られそうな独り言を言いながら、眠そうに目をこすっているゴンベであった。
果たして人類は、無事に2027年を迎えることはできるのであろうか?
もし2027年になったら、またお会いしましょう。
~ おわり ~
最後は曖昧な内容での簡潔になってしまいましたが、人類が無事に2027年を迎えるのは難しいようです。どんな結末になるか・・・皆様のご想像におまかせして、物語を閉じさせていただきます。
ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございました。




