<ファティマの予言>
今回は「ファティマ第3の予言」を題材した無いようです。この予言も詳細が語られておらず、真相は未だにわかりませんので、勝手な妄想話を書かせていただきました。
何時か真実が開示されると良いですね。
今日も1話のみの投稿となります。
7月のある日。今日も黒猫のジェムは、飼い主さんが仕事に出ると、すぐにゴンベの家に来て、毎度のように愚痴を言っていた。
『まったく、過激派の連中は、なんであんなに頑固者が多いニャン? もう少し柔軟に考えて欲しいニャンよ』
「まあまあ、彼らは正義感が強いのだろう? それと自然愛が強いともジェムは言っていたじゃないか。彼らはこの地球という惑星が、美しいと気に入ってくれたから、それを平気で破壊する人類に対して、どうしても許せないのだろうね。うん。俺は彼らの気持ちが分かるな」
『確かにゴンベの思考は、彼らに非常に似ているニャン。人間よりも自然の方が好きなのだろうからニャン』
「まあね。俺はジェムのような精神生命体になれたら、自然界の番人になって、自由に自然の中を飛び回って過ごしたいと思っているからね」
『全くゴンベは人間らしく無いニャ。もしかしたら、縄文人はみんなゴンベのような思考だったのかも知れないニャ。きっと平和で楽しい時代だったニャ』
そう言うと、ジェムは前足でペロリと顔を拭った。
「ところでさ、以前ファティマの予言は、ジェムの仲間が善意で人類に行った警告だと言っていたよな?」
『そうニャ。あの頃は誰もが人類を正しく導きたいと、熱意を持っていたニャ。まあ、今は諦めて、滅ぼす算段ばかりしているけどニャ』
「なあ、問題の第三の予言だけど、白衣を着た司教や多くの信者が、銃殺や迫害を受けて倒れていく幻視だったみたいだけど、それって本当はどういう意味だったのかな?」
『ゴンベはどう思っているんニャ?』
問われて、ゴンベはしばし天井を睨みながら考えていたが、
「分からん」
とアッサリ投げ出してしまった。
『あはははは。ゴンベらしいニャン。今ゴンベが言った幻視の内容は、バチカンが教皇暗殺未遂事件に関連付けるために発表した予言内容ニャン。実際の予言内容では無いニャン』
「へ? じゃあ、やはり本当の内容は、まだバチカンが隠蔽していると言う事だね」
『そうだニャン。ただ、完全に出鱈目な内容とも言えないニャンよ』
「どういう事だい? 一部本当の事が含まれていると言うことかな?」
ここでジェムはペロリと鼻を舐めてから説明しだした。
『第三の予言は、バチカンにとっては、極めて都合の悪い内容だったニャン。幻視内容を見ると、聖職者達が迫害されている光景ニャけど、それは聖職者達の地位が地に落ちるほどの事態が起こると言う事ニャン』
「聖職者の地位が地に落ちる……それって、どういう事かな?」
『具体的に言うと、真の神の声が語られていたニャン』
「ん? 真の神の声?」
ジェムはゴンベに、ファティマ第三の予言内容を示した。
まずはゴンベの頭の中に映像が映し出されてきた。
その内容は、人々から激しく非難されながら、白衣の司教や多くの信者達が藻掻き苦しみつつ、降り注ぐ光の中で力なく倒れ伏していく様子であった。そして、多くの人々も同様に、光の中で次々と倒れていくのであった。
「これは……」
ゴンベは絶句してしまった。
『今のが本来の幻視の内容ニャン』
「これが幻視の……」
続けてゴンベの頭の中にジェムの声が響いてきた。その内容は、
『真の神は争いを望まない。真の神は差別をしない。真の神は、自然を愛し、美しい自然の守り手とするために人類を創造したのであり、私利私欲の為に自然を破壊する為ではない。
そして、正しく人々を導くのが宗教のあるべき姿と神は望んでいる』
言葉は更に続く。
『しかし、その一つでも人類は、神の意思を叶えてきたであろうか? 私の目には、全て反する行為で、神への冒涜を続けてきたとしか見えない。
これが最後の警告である。心を入れ替え、真に神への祈りを捧げる心を持たなければ、今見せたような地獄の世界へと堕ちていくであろう。この事を全ての人々に伝え、正しく導くことを望む』
ゴンベはまだ理解できないようで、しきりにブツブツ言いながら、考え込んでいる。
「要は……これが本当の予言内容?」
力無くゴンベは呟いた。
『そうニャ。そして1960年以降を指定したのは、その頃であれば、より広く全ての人類に、予言内容を伝達できる技術も、人類の進歩状況から予測したためニャン。実際にその頃にはテレビも普及し始めていたニャンよ』
「なるほど……全ての辻褄が合ってくるのだね」
『そうニャン。でも、バチカンが隠蔽した気持ちも分かるニャン。この内容が一斉に報道されてしまったら、宗教の存在意義は消滅するニャン』
「それどころか、宗教は今まで信者を騙してきたことになるよね。そりゃ聖職者は真っ先に抹殺されるわけだ」
『そうニャ。だから歴代教皇も公開できなかったニャン。でも、人類自体が心を入れ替え、正しい道へと進まないと、今日のような厳しい評価を受ける事になるニャン。
それを防ぐために、わざわざ予言を与えたのに、せっかくのチャンスを人類は自ら放棄したのニャン』
「なるほどね。そう言うことだったのか……つまりファティマの予言が、今実行されそうになっていると言う事だね……」




