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星火燎原  作者: 更紗 悟
第六章【頂に望む星】
114/117

返ってきた静けさ

 

     9


 バシーを主軸とする統分の統士攻団、サイトを頭とする真穿、ドウゴに率いられたキョウの統士達。彼らの死闘により、不可侵の地煌よりの生還と、そして難攻の都ツークス陥落が成し遂げられた。

 同時に綜統士団が不在の間に起きたレクト・殊の反乱も鎮静に向かっていた。

 シンキュウに陣取り、ダウスの掌握にあと一歩と言うところまでレクトは迫った。しかし、街の周囲を真穿、河津、瑗の軍勢によって包囲され、動きが取れなくなった頃から歯車が狂い始めた。

 その上、首謀者たるレクトが、シンキュウに侵入した者によって討たれたのだ。手を下したのが他でもない、主たる綜真の手に寄って、と言う報を聞き、レクトの配下たちは大いに動揺した。真に弓引いているという罪悪感が増し、迷いが動きを鈍らせた。

 しかも、シンキュウに陣取っていた仲間達は、女一人にほぼ全滅させられたという。周到に準備していたはずだが、実は何者かの手の内で踊っていただけではなかったかと不安になった。

 導き手を失い、真に逆らう大儀も見失っては、命をかける意義も見出せない。数の上では対等である包囲網を破ることもできず、街の中で身動きを取れなくなっていった。要を失ったレクトの賛同者達は、ある者たちは自暴自棄の戦いを挑み、壊滅。ある者たちはあっさりと投降し、ある者たちは光を失い絶望して自害した。

 結局、ツークス陥落の後、知らせを受けて舞い戻ってきた綜統士団がどうこうするまでもなく、事態はほぼ収束していた。大規模な戦闘を行なうことなく、オウ・青が再びダウスを掌握していた。

 ただ、エヌイ・葵と名乗っていた女のみが、姿を消したまま見つからなかった。探し出す協力を求められたソンヴは、遠く煌の山々に思いを馳せつつ、いつか見つけてみせるわと、呟いていた。


      *


 ツークスは綜攻団により陥落したが、リ・ウ・鵬に率いられた軍勢が敗れた後も、狂信的な反抗勢力により、小競り合いが多発した。

 これまでワグンと見下してきた者達が上に立つなど想像もしておらず、そもそも他国の者自体に耐性がない。小規模の衝突があちこちで起きていた。

 ただ、その反抗はあくまで悪足掻きでしかなく、大局を変えるまでの熱を持たなかった。綜の統士達はこれらの反攻に対し、説得が可能なら心を尽くし、受け入れられず後に災禍となりそうなら潰した。


 サイトたちは、武器と主張を持って抗ってくる者以外は、手を出すなと厳命した。これまでの鬱憤をツークスの民にぶつけようとする者はかなりいたが、宥めるか、処罰を与えるかして押さえ込み、不要な争いが続くのを防いだ。

 その甲斐あってか、戦の予韻はようやく消え去り、ツークスにも一応の平穏が戻ろうとしていた。


 リ・ウ・鵬に心酔していた守団の生き残りの一部は、頑迷に従う事を拒否し続けた者もいたが、煌の民からの反発は少なく、むしろ大人しく受け入れられた。

 一般の村々と同じように、ツークスの民は、諦めと共に新しい支配者を受け入れた。ここもやはり、支配者の名前になど興味を持てないほど、民の心に暗い影を落としている何かがあるのだろうと思われた。



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