2話 住人さんにこんにちわ
初めましてキノコさん
誰しも一度は体験したことがあるのではないだろうか。
夢の中で深い闇の中に落ちていく果てしない不安に見舞われる嫌な夢を。
しかし夢というのは意識が途中でこれは夢だと認識する。そして何より夢の中と実際の体感ではあまりに感覚が違いすぎる。
そこでだ、今俺が落ちているのはどっちだろう。
まぁ意識はあるからこれは九割方現実だろう。それを踏まえて思う。
「俺落ちてるのに冷静だな~」
あまりにも深く落ちていくのでこんな事まで言える程である。
これまで落ちながら考えていた。
まず森で遭難して光る木に寄りかかって木の中に落ちた。なんて単純なんだ……
「それにしてもどこまで落ちるんだ?」
もうかれこれ十分ぐらいたってる気がする。
ん?まてよ…このまま落ちていってもし地面があったら確実に……
「死ぬ……?」
まずいな、冷静に考察してる場合ではなかった。
しかしこの状況では何もできないので、
「死ぬのを待つかな」
諦めよう。
でもせめて家族には別れを告げたかったな……
でも人付き合いの苦手な俺には相応しい最後かな。
あ、光がでてる。これで終わりだ。
「今までありがと~~」
呑気な別れ言葉を自分にして覚悟を決める。
ここは…どこだ……?
朧げな意識の中で今の状況を確かめる。
確か俺は深い暗闇に落ちていってそのまま死を覚悟したはずなんだが、どうやら死神は俺を連れ損なったようだ。
「起きましたか…?」
ふと声を掛けられてとっさに声がした方に顔を向けようとするが。
「あ…れ…動かない……」
脳はちゃんと動けと命令してるはずだが身体が言うことを聞かない。
「あ、まだ動かない方がいいですよ、私の毒が効いてると思うので」
何だ?…この人は何を言ってるんだろう。
毒?。私の?。
考えれば考える程訳が分からなくなってくる。
つまりこの人は俺に毒を盛ったのか?何のために?
「大変だったんですよ~、私の傘の上にいきなり落ちてくるんですから、お陰で傘が壊れかけちゃいましたよ~」
そういえば生きてるって事はこの人に助けられたのか。それは悪い事をしたな…
「そろそろ毒が抜けてるんじゃないでしょうか?」
確かに顔は動かせるようになったし、早速命の恩人の顔でも拝観させてもらおう。
白を基調としたゴスロリチックな服装。そしてコルセットと中に着ているドレスは薄いピンク色をしている。何よりその人間離れした美しさと微笑みに衣服ととてもお似合いだ。
優はそのまま数秒間彼女に見惚れていた。
さすがに見すぎていたのだろう彼女から、
「そんなに見ないでくださいよ~、恥ずかしいです~」
何だか怒ってるのか分からない人だな。
そこである事にふと気が付く。
「どうして毒を盛ったんですか?」
これは聞かなくちゃいけない、いくら命の恩人でも聞き逃してはいけない。
しかし帰ってきた返答はこの世では絶対に聞けないであろう答えだった。
「私の身体の欠片が口に入ったんじゃないんでしょうかね~」
「え?どゆこと?」
「ですからベニテングダケは口にすると目眩や錯乱、痙攣などを起こしますからね~」
俺は馬鹿にされてるのか……?
でもこんな優しそうな人が騙そうなんて思ってなさそうだが…
そういえば全然気にしてなかったが明らかに人と容姿や毒とか訳が分からない要素があるよ……
そこに追い打ちをかけるように
「私達キノコには毒がある方もいるでしょ~変な方ね~」
その日俺はやっと自分が別の世界に来てしまったのではないかと思い始めた。
2話です。
やっとキノコの娘が出てきました笑
名前は3話で出てくるので次回もよろしくお願いします。




