1話 キノコの山への誘い
キノコの森へようこそ
「迷った……」
緑が生い茂り霧が濃い山林で一人虚しく呟いてみる。こんな事になるなら妹でも連れて来るべきだったと思いながら木々を掻き分け出口を探す。
それにしてもなんだってこんなところに来てしまったのだろうか、事の発端を思い返してみる。
まず朝のニュースで奇妙な報道を見たのが始まりだった。
朝ご飯を食べながら何気なくチャンネルを切り替えていた時に偶然見たのが家の近くを映し出していたので内容を確認しているとどうやら俺の家の近くにある山林で行方不明者が出たとの事だった。
しかしこの事件には不可解な事が多かった。まず警察は行方不明者が誰かに殺害されて山林のどこかに隠されたのではないかと疑っていたが、いくら探しても見つからなくそしてそれを行う犯人らしき人物も見つからないそうだ。
そして一番この事件の不思議なところが行方不明者の事を誰も覚えていないのだ。
ご家族の方々は突然家族の人数に違和感を感じたそうだ。
家には父と母そして息子さんがいるらしいが何故か母は娘が居た気がすると感じ家族アルバムを見たらしいのだがそこには家族四人で仲良く写っている写真があったらしい。
けれど彼女を見ても何も思い出せない、しかし娘がいたような記憶がある。
なので探してみようにもこの家にはいない、ならばと親戚にあたってみたのだがそんな娘は知らないと話を聞いてくれなかった。
どうすればいいのかと悩んでいた時ふと足のあたりに紙が落ちているのに気がついた。
紙を拾って見てみるとそこには「山」とだけ書かれていた、しかし家族の誰とも字の書き方があっていない、そこでこれはいたはずの娘が書いた文字ではないかと思いたったのだ。
だと言ってもだ、娘が書いたかもしれないといっても「山」とだけ書かれた紙。
とりあえず近くの山に行くぐらいしか思い立てない。
そこで警察にもその事を話し、行方不明扱いで捜査を始められる形となったのだが、いたかも分からないような人物を探すのは無意味だと警察側は感じ捜査はすぐに打ち切りになってしまったのだ。
そして大の都市伝説好きの俺はそのニュースを見た次の日すぐ山林に足を運ぶことした。
そんなこんなで今に至るのだが…
「まさか俺が迷うとは思ってなかったな~」
軽い口調で言ってみるが心臓がバクバクいっているのは俺本人が嫌というほど分かる。
「とりあえずここがどこなのか調べないと」
持ってきた鞄の中に手を突っ込んで携帯を探す。そして携帯を取り出し電波を確認する。
「まじかよ…圏外じゃん…」
やばいな…本格的に帰れなくなるタイプだ……
そんな事考えていると目の前になぜか霧の中でも明るく見える木を見つけた。まず休憩して頭を休めて考えなおそうとその木に寄りかかった瞬間、
「うん?うわ!?ぎゃあああぁぁぁー!?」
落ちた。うん、落ちた。何で?
「何でえええええぇぇぇぇ!?」
虚しい叫びも身体とともに闇に吸い込まれていった。
作者の天羽晟です。
この小説をみて下さった方々に感謝です!
そして気に入ってくれた方はこれからもよろしくお願いします!




