3話 新たな人に
別の世界で
人は呆れた事や驚く事が起こる時の表現として開いた口が塞がらないと言う。
そしてこの状況下ではまさにそのことわざが相応しいだろう。
優は目の前にいる彼女を見ながら口を塞ぐことができなかった。自分はキノコでそれが普通だと言い始めたのだ。
「そんな事ありえない!変ですよ!」
思わず口に出してしまった……気分を悪くされるかな?しかし彼女は機嫌が悪くなるどころか笑い転げてしまった。
「あはははは面白い人ですね~」
「笑い事じゃなく真面目に聞いてるんですよー…」
「でも本当に面白いんですも~ん」
「そうですかね……」
そこで彼女の言葉の何かがおかしい事に気が付く。
しかしなぜだろう喉の近くまで出かかっているのだがなかなか出てこない。
普段あまりに聞き慣れすぎて聞き逃しているような、けれどここではおかしいような……
クソ~なんか魚の骨がずっと喉に引っかかったような感覚と似ている~。
そんな事を考えながら彼女を見つめてようやくモヤモヤの正体に辿り着いた。
この人?は自分をキノコと言っていたんだ、なのにさっきの言葉の中には俺の事を面白い人なんて言っていた……
まるで人の意味を知ってるかのような。
すると考え込んでいた優の顔を覗きこんだあと、テレビ番組のドッキリ企画で大成功した芸人のような笑顔で笑い転げそのまま笑いながら話をし始めた。
「フフ知ってますよ~人間さんでしょ?」
もしかしてはめられたのか……
じゃあこれは全部ドッキリだったんだな。
そう終わってほしかったが現実はそこまで甘くなかった。
「あなたの前にも人間さんがここに来たんですよ~あなたぐらいの歳で可愛らしい女の子ですよ~」
女の子か……
確かニュースの行方不明者も女だったし、だんだん繋がってきたな。
「つまりその女の子もこの木の間から落ちてきたと、それでその女の子は?」
「今はヴィロサさんの所にいますよ~」
「その方もキノコですよね?」
「そうですよ~彼女を見つけたのもヴィロサさんですよ~、本当に良かったですよ~もしヴェルナちゃんの上に落ちたら死にますね~」
「それは良かったです……本当に」
顔を引き攣らせながら聞いていたが自分も危なかったと再認識すると今度は冷や汗までかいていた。
とりあえずその人のとこまで案内してもらおう、そしてこの世界から一緒に抜け出す方法を考えるんだ、きっとその女の子も家族に会いたがってるに違いない。
そういえば……
「あなたの名前を聞いてませんでした、教えてもらえます?」
ここまで話しといて名前を知らないのは失礼だなそれに俺の名前も言ってない。
「僕は優。桜庭優です」
「私はアマニタ・ムスカリアです~ムスカリアとお呼びください!」
「よろしくムスカリアさん」
「はいよろしくです優さん!」
自己紹介も済ませようやく案内してもらおう。
「その女の子のとこまで案内してもらっていいですか?」
「もちろんですよ~、じゃあ行きましょう」
早いな~でもいいか俺も早く会いたいし。
すぐに準備を済ませ、家の扉に手を掛け開けたその先の光景は想像を遥かに超えた世界が待っていた。
遅くなりました3話です
そろそろキャラがたくさん出てきます。
次もよろしくです!




