ホットミルク
新生活はやはりあわただしいですね、今日が4月最後!?小説更新しなくては!と焦りました。短いです。
そうそう、セブンイレブンのバイトを始めます。月曜日が面接なのでドキドキです。
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ロジャーは困惑していた。あの荒波を超えても希望もない、そう確信していたのに。
自分を含め、子供たちは温かい湯船につかり、身体をきれいにされ、ふかふかの布団で寝ている。
布団の手触りは良く、故郷の王族たちが扱っているものと同等、もしくはそれ以上かも知れない。
身体は疲れているはずなのに、目はギンギンしていてまるで睡魔が訪れる様子はない。他の子供たちはぐっすりと眠っていた。その顔はみんな穏やかで、安心しているように見える。自分は怯えているのか、緊張しているのか、警戒しているのか。
自分一人だけ、そんなことが頭に浮かび、肌にゾワリとしたものが駆け巡る。
自分の神経がピリピリしている。とがった聴覚が微かなノックを拾った。
ガチャリ。静かにドアが開いた。
*
伊吹あらためイゼアはリュシオンとルーシャスとの会話を終え、リョクと合流した。
回収に来た男たちの根城は小さな小屋で、酒瓶が散乱していたらしい。
ほかの仲間はいず、また当主と密接なつながりがあるわけでもないらしい。どうやらガーダンの教育水準はあまり高くないようだ。
普通条約に違反している証人たちを野放しなんてしない。自分の手を汚さずとも監視をする必要がある。それがないということはいつきり捨てても構わないという存在なのだろう。船が海岸に現れたら、男たち側から連絡を取る手段になっていたらしい。カモフラージュなどはいろいろしてきたので時間稼ぎにはなるだろう。
イゼアはロジャーと名乗った子供を思い出していた。
ロジャーが子供の中で一番身体が大きく、目は爛々と輝いていた。イゼアたちが何かあれば動くと宣言したとき、怯えをわずかに見せつつも、生き抜いてやると目は言っていた。
宝石のエメラルドは美しい。しかしイゼアにはあの目のほうが美しく見えて仕方がなかった。
ほかの子供たちはあまり意思が見られなかった。ただ言われた通りにする。今までそのようにしか生きてこられなかったのだろう。
詳しい話は明日訊くが、少し様子をうかがってこよう。
イゼアは子供たちが寝かされている部屋へと向かった。
一人起きている気配がする。きっとロジャーだろう。
イゼアは小さくノックをすると静かにドアを開けた。
予想通りロジャーは起きていた。暗闇であるのにエメラルドは輝いている。星が夜空で輝くように、ロジャーの瞳も汚れた世界を映してより鮮明に輝くのかもしれない。星が地上の明かりにけがされずに光り続けるのと同じように、ロジャーの瞳は汚れないのかもしれない。
ロジャーは寂しさと怒りと孤独と不安と。感情をすべてしまい込んで、それでもあふれ出てしまう。感情が滲み表情が歪んだ。
ほかの子供たちは案外安心した様子で眠っている。イゼアは足音を立てずにロジャーのそばによって、椅子を引き寄せ据わった。
ロジャーは何も話さずこちらの一挙一動を見守っている。
イゼアはロジャーの耳がギリギリ拾える音量で話しかけた。
「ミルクは好き?」
「……」
「君たちは戦わなくてはいけない。自分の意思で生きたいのなら。俺たちの思惑に振り回されずに生きたいのならば」
「……」
「だからホットミルクを作ったんだけど…飲まないか?これを飲んだらしっかりお休み」そうして差し出したホットミルクからは湯気と甘い香りが立ち上っていた。
ロジャーは少し沈黙してそれを受け取った。
毒は入っていないだろう、そう確信していた。こいつが自分を殺す可能性はまだ低い。自分たちは条約に反しているといわれたなら証拠、証人が必須である。
ひび割れて薬が塗りこまれた唇を微かに開き言った。
「言われるまでもない」
紺碧とエメラルドが交差した。
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やっぱり短い!次回はスピーディーに行きたい。




