名無しの少女ちゃんと名無しの女神ちゃん
「ミーシャさ~ん!」
「はいはい、怖かったわね。なんであんなことになっていたのよ」
変な奴らに担がれていたルナを救出し、ルナを抱っこしているあたしは森を抜けて街までの道を歩いていた。
「う~……多分わたくしたちの種族に関わる話なのですけれど、そのせいで人々に妙な感覚を与えてしまうらしく、小さな村で始まったわたくしはすぐに人々に囲まれ、そのままあのような感じに……最初は少し気分も良かったのでそのままにしていたのですけれど、なんかもうお外にも出られず、ずっと拘束されていたのでどうしようと行き詰っていたところで、ミーシャさんが現れて本当に助かりました」
「あんたたちの種族――つまり神に属するとかそんな感じになるのよね?」
リョカから少し話を聞いていたけれど、アヤメやルナたち女神は、どんな場所で生まれても女神になるとのことだった。
このゲーム世界でも例外ではないらしく、基本的には崇められる存在になるらしい。
でも――。
「リョカならその辺り対処してそうだけれどね。それにアヤメが一度も文句を言っていないわ、多分何かしらのスキルがあるんじゃない? 人からの意思を拒否してみるとか」
「え?」
ルナが首を傾げる。
この最高神には拒絶するという思考すらなかったらしい。
「一度やってみたら? このゲーム、スキルって割と簡単に覚えられるわよ」
「う~ん……」
融通の利かない女神である。
あたしはルナの頭を撫でると、少しだけ思案する。
「それなら、自分を変えるしかないわね」
「自分を。ですか?」
「放っておいてほしいんでしょ? それなら、誰かに関与させるんじゃなくて、お願いしてみるのよ」
「……」
ルナがあたしの腕の中で手を組んで目をつぶった。
「わたくしはただ、このげーむを楽しみたいのです。どうか、見守っていてくださいませんか?」
そんな言葉とともに、ルナの周囲がほんのりと光り輝く。
「……できました?」
「どうかしらね、何か変わった感じはする?」
「う~んっと」
首を傾げているルナに、試してみれば大丈夫だろうと声をかける。
するとそのルナが辺りを見渡した。
「ところでどちらに向かっているのでしょうか?」
「ああ、今あたしが宿を取っている街よ。なんて言ったかしら、ああそう、レッヘルグリーン、グエングリッターみたいな街ね。ギルドが力持っていて、あたしの肌に合うわ」
「へ~」
「あんたも冒険者やる?」
「いいんですか?」
「ええ、せっかくだし楽しみましょう」
頷くルナが地に足をつけたいと体を揺らし始めたから下ろし、彼女の手を握ってあたしは今の縄張り――レッヘルグリーンへと軽い足取りで向かうのだった。




