魔王ちゃんとこちらが出来上がったものでございます
「は~いそれじゃあちゅうも~く」
お父様との会議、先生と無王への報酬についてを経て数日、やっと調整も終わり、鍵も量産した。
今日はその鍵を有志の学園生といつものメンバーに配っているところであり、学園の中庭を借りて、僕は使用上の注意やこのゲームの概要――というより、ゲームという遊戯自体の説明をあらためてしようと思っており、この場にいる全員に呼びかけている。
「ここ何日か、学園の掲示板や休み時間中の僕の演説を聞いてた人も多いと思うけれど、改めて言うね――これはゲーム、現実ではありませ~ん! 夢だとか妄想だとでも思ってくれればいい。で、大事な話だけれど」
僕は辺りを見渡し、いつものメンバープラス200ほどいる生徒たちに真面目な顔を向ける。
「普段からそうなんだけれど、現実と妄想はごっちゃにしちゃいけない。それはこのゲームにも言えることだ、体の動かし方や戦略なんかは学べるだろうけれど、このゲームは死んでもリスポーン――つまり生き返る。現実ではありえないよね?」
ジンギくんが首を傾げていたから、僕は思い切り闇の球を投げつけた。
あいつ反省してねえな?
「ゲームで大丈夫だったから、現実でもやってみよう。馬鹿の発想だからな? もちろん例外もある、うちの幼馴染なんて体真っ二つになるような攻撃を受けてリスポーンしてきたとき、あれ如きであたしは死なないわ。とか言いやがったからな」
生徒たちが一斉に我らの聖女様に目をやるのだが、そのゴリラは鍵――所謂VRゴーグルらしき見た目のそれに軽く拳を打ちつけており、頼んでもいないのに耐久テストしていた。
ゴリラの知能テストじゃねえんだぞ。
「というわけで、とにかく君たちはここ――この世界の現実で生きている。そして僕たちジブリッドが今から招待するのはその現実を抜け出し、あらゆる制約の下で夢の中で生きよう。というものであることを頭に叩き込んでほしい」
生徒たちに目をやるとうんうんと頷いている者たちが多くおり、隣のいつものメンバーたちが欠伸をしていたり、話聞いてんだか聞いてないんだかわからない行動をとっていたりと、ぜひ見習ってほしいものである。
「一応、こちらからのセキュリティーも充実させているし、もしもの時のBANだって用意されている。まあ僕も鬼じゃないからね、アカウントを消すなんてことはしないよ。でもここまでされたら色々と不都合があるからそれだけは覚悟してね」
僕の真面目な忠告をちゃんと受け入れてくれているのがここからでもよくわかる。本当にこの学園の生徒――一期生たちは聞き分けが良い。
聞き入れないとどうなるのかこれまでの行事でよくわかっている者たちの顔だ。熟練の戦士のようだ。
「あっそうそう、一応手順について説明しておくね。まずはそのゴーグルをこうやって被る」
僕はみんなの前でゴーグルをかけて説明を始める。
特別な手順なんてない。むしろ儀式めいたものに近い。
この世界には電子機器などなく、ネット回線なんてものもあるわけがない。ゴーグルはこれ単体で意味を成す。
「自宅の安全な場所、ベッドの上でもいいし、ソファーの上でもいい。とにかく寮の中、自分の部屋、そこで楽な姿勢になれる場所で、ゴーグルを被る。そしたらこのゴーグルの側面――右側に押し込む箇所がある。そこを押して――ってまだやるなよ。ガイル、やめろっ!」
シュンとする金色炎の勇者に呆れた顔を向けて、すぐに視線を戻して生徒たちに目をやる。
「いい、安全な場所、だよ。あとは中に入ってから色々チュートリアルが始まるからそれに従ってね」
と、ここまで説明をすると、生徒たちは早く実践してみたいのかウズウズを隠せないほどの表情になっており、僕は小さく微笑む。けれどもう少し話したいことがあり、僕は手を叩き、改めてみんなから視線を集める。
「そうそう、入ってからでもいいんだけれど、一応キャラクリ機能――自分がどんな姿になるのか、どんな出生なのかを設定する項目があるんだけれど、面倒って人は勝手にやってくれる機能もあるから、それを活用してね。それじゃあっ良いゲームライフを――」




