勇者くんと命を燃やす革命の灯
「セルネ、俺が周りの奴を片付けるからちょっと休憩してなよ」
「任せたっ、魔狩りは貰うね」
クレインが俺の前に出て正面の勇者たちを睨みつけると、フッと息を吹き、体から力を抜いた。
「クレインは一体何を――」
オルタの疑問に応えたのは、突如として放たれるクレイン=デルマの圧――否、これは生命力だ。
「カナデ嬢から話を聞いて、これなら模倣できるってヒナ様に相談したんだよね」
そう、クレインは自分で加護とスキルの曲解をやってのけた。
多分最初話を聞いた時から模索していたんだろうけれど、カナデがとんでもなく複雑そうな顔をしていたのを覚えている。
「『革命神翼・身滅命火』」
クレインが自身の胸をドンと叩いたその瞬間、ヒリヒリと燃え盛るような存在の意思、存在の圧――自身の生命力を魂の中で燃やしている。
燃料の違いしかない。
やっていることは、かのかいじん。
それそのものを燃やす力ではない。しかし彼らがそうだと呼ばれていたのは、燃やして得ていた圧倒的な戦闘技術。
生命力を体の中で燃やすことでエネルギーを発生させ、神鳥様の加護によって革命を起こし、燃やしたエネルギーを魂にこれは戦うための力だと声をあげさせる。
「3分――」
クレインはポケットからリョカ作のまん丸錠剤を取り出してそれを口に咥えると景気よく噛み砕き、まだ100以上残っている勇者の大群を3分で始末することを宣言した。
「元の名前は縁起が悪いからね、リョカ様から賜った新たな俺の力――『火産霊――」
片方の拳を引き、もう片方の腕を軽く曲げ、敵へと拳を向けているクレイン。
さっきからアヤメ様が頭の中で『それも大概縁起悪いけどな!』と文句たれているけれど、俺は俺の剣の戦いに集中する。
そんなクレインがまるで宙の羽に脚を添えるような柔らかな足取りで勇者の一人へと間合いを詰めた。
「――縁壊』」
件の勇者にクレインの拳がそっと触れた瞬間、爆音が鳴り響き、彼は息を吐くと振り返って俺たちに目をやりながら戻ってきた。
「……人の腹に文句を言った奴の技でござるか?」
「目を離すとすぐこれだよ! ギルドのランク基準どんどん変わっていっちゃうんだからね!」
オルタとマナさんが引きつった顔を浮かべているのは、今クレインが拳を放った勇者の横腹がまるで噛み千切られたようにえぐれているからだった。
拳が勇者へと当たる刹那、少し曲げた腕を伸ばし、拳を前に押し出し、腰を強く回したことで発生した超威力のリョカ曰くワンインチパンチ――。
加護の超強化と火産霊という技によって実現した高威力の戦闘技術。
クレインはそれを完成させていた。
「大聖女の奇跡すら届かない革命の破壊、とくと味合わせてあげるよ」
不敵に笑うクレインが、さらにさらに体に強化をかけたのだった。




