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よくある魔王ちゃんと聖女ちゃんのお話。  作者: 筆々
55章 魔王ちゃんと聖女ちゃん、おかえりなさいの安らぎと叩き込む意思。

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聖女ちゃんとその戦争の覚悟

 ここまで来たのなら、やることは1つだ。

 現状、あたしとあの子は交わらない。すでに違えた。あの子がそれを選んだ、

あたしがそれを受け入れた。

 別の道なんてない、今あたしたちが進んでいるのは、今あたしが広げている翼は――。



「ミリアぁぁぁぁっ!」



「――」



 あたしたちは聖都の門から外に出て、そこで聖女、聖騎士、神官、その他雇われ冒険者300、勇者200が隊列を組んでいるところに、ずかずかと躍り出て、その隊列の正面であたしは吼える。



 あたしの目は、瞳は、意思は、革命を担う翼は――ただただミリアだけを捉えていた。



 体中から戦闘の意識が弾ける。空にはばたく力をあたしの命(・)に乗せて、何度も何度も爆発させる。



 あたしの中の生命力、あたしが纏う信仰――革命は成り、信(・)仰(・)を(・)命(・)と(・)認(・)め(・)さ(・)せ(・)る(・)。



 あたしに向けられる目、目、目――その意識の全てが怯えている。

 口角を吊り上げてどこまでも嗤って見せる。



 正面に目を向ける。

 あたしの瞳に映った深海に沈む神の信徒は、歯を鳴らして自身の法衣をぎゅっと握ってあたしから目を離せないでいる。



「あんたが選んだ!」



「あ、あ……」



 大海の聖女がその足を一歩下げる――。



「逃げるな!」



「――」



 今にも泣きそうな顔、けれどもう止まれない。

 あたしも選んだ、あの子も進んだ。



「拳を構えなさい! 敵を睨みつけなさい! 今お前の目の前にいるのは、この世界に牙を立てる獣の聖女と知りなさい!」



 瞳いっぱいに涙を携え、大海の聖女――ミリア=アルトハートが体を震わせながらもこれ以上の後退を踏みとどまった。



 あたしは鼻を鳴らして笑みを浮かべると、隣で顔を引きつらせていたセルネが口を開いた。



「この聖女えげつなさすぎる。さっきまでしおらしかった聖女はどこに行ったの」



「あの子が進んだ道よ、敵(・)が(・)い(・)な(・)い(・)と(・)成(・)り(・)立(・)た(・)な(・)い(・)」



「あの大聖女のおよそ初戦闘がケダモノの聖女かぁ。それだけで胸張っていい戦歴だよ」



「さすがミーシャ様です、あの言葉は実によく効く(・・・・・・)」



「クレインは経験者だもんねぇ」



「……旦那様が革命を成す者ならば、ミーシャさんは革命を起こす者です。言葉が、意思が、瞳が、誰にでも翼を与える者――革命を先導する聖女。アヤメ姉様ズルいです」



「あなたが一番欲しいだろう力の持ち主ですものね」



 クスクスと微笑むルナと頬を膨らませるヒナを一撫でし、あたしはセルネとクレインに目をやる。



「セルネ、クレイン、あんたたちにはあっちをやるわ」



「魔狩りの勇者ね、任せて――」



「合流戦力はどうしましょうか――」



「全員よ。約400、こっちと合流するだろうあの子たち(・・・・・)と殲滅しなさい」



「は~い――え?」



「……あの、ミーシャ様? 魔狩りの勇者ではなく?」



「徹底的に終わらせなさいッ」



「ひぇ」



 あたしは歩みを進ませ、腕を組んでミリア率いる聖都の戦力に戦闘圧を伸ばす。



「覚悟なさい、あんたたちが今から行なうのは戦争よ。弱者を踏みつぶし、強者が嗤う行いよ。嗤いなさい、嗤っている奴が味方で、嗤っている奴が敵よ! あたしたちが選んだのは、あたしたちが進んだこの道で、弱者を蹂躙しなさい!」

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