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第四十四話「出る者」

 扉が開く音がして、どかどかと子供たちが入ってきた。男子チームだ。私たちはもうとっくにファッションショーを終わらせていて、リビングルームで遊んだりしているところだった。最後に龍が部屋に入り、扉を閉め、私の方を向いた……と思ったが、すぐに皆の方を見た。

「女子チームは、なんか見つかったん?」

「いっろいろねー!」ご機嫌な実夏が大声で応えた。

 美香にフォーカスした龍はやがて、彼女の身なりの違いに気付いたようだった。

「あれ、実夏そんな服持っとった?」

「ううん! これが見つかったものだよ」

 龍は驚きを隠せないようだったが、ここは一応王宮なので納得したようだった。王宮は王宮。なんでもあるのだ。なんでもあるからこそ、鍵のように小さなものは見つかりにくい。むしろ王宮の外にあるかもしれないのだ。そうとすると、膨大な時間と労力が掛かり、やがて諦める者も出てくる……。

 ――そこまでする価値は、あるのだろうか。そこまでして、本当に皆ここを脱出したいのだろうか。私は、部屋を見渡した。……居た。リビングルームにある三つのテーブルの一番小さい所に、彼らはいた。毎日、朝から晩まで将棋を睨む、将棋の虫。その虫に付き添う、優しい虫に私は問うことにした。

「光君。ちょっと質問があるんだけど」

「あ、小竹。何回負けたかなら答えられないよ?」

「ふふ、今度聞こうかな。……じゃなくて、光君、この世界から出たい?」

「えっ。そんなこと、できるの?」

「まあ、鍵探しもその為にしてるものだし。晝眞君は、出たいんじゃない?」

「僕は棋士になりたいから、出るつもりでこうやって練習している」

 珍しく、晝眞は話を聞いていたようだ。それを聞いて、光の顔が少し陰った。しかしすぐに輝きを取り戻した。

「俺もこの場所を出て、いろんな経験したいなあ。ここにずっといるんじゃ、スランプと一緒だもん」

「でもね、光。毎日色々経験して生きているから、スランプなんてものは、存在しないんだよ」

「そりゃ、晝眞は毎日将棋やってるし上達して経験して……」

 光はむすっとした顔になり、投げやりに駒を自分の手前へ動かした。毎日将棋をやっているのは、二人とも同じ事だと思うが。でも、やっぱり今日も晝眞のリードだ。将棋を知らない私でもわかる。もう勝ったも同然なのか、晝眞がいつもより会話に参加している。怪奇現象だった。

 二人とも人間界に戻りたそうだった。晝眞と光、そして私と実夏はここから出るつもりでいる。他の皆は……本当に、鍵を探して人間界へ行きたいのだろうか。

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