第四十五話「鍵探し考察会」
今日は少し大事な予定があった。特に、私にとってはとても大事な予定だった。鍵を探すことのあまりの難しさと、人間界へ戻るという目的を望まない者の多さに、この『鍵探し考察会』の”第一会議”を開くことになったのだ。私のネーミングセンスを疑われたが、他の案もなかったのでこうシンプルな名前になった。名付け親ということで、私がその会長になった。
「……じゃあ、鍵探し考察会、第一会議始めます……」
私は、今ここの人間全員――ほとんどが小学生の、計十一人――が集まったいつもの人間部屋で、ホワイトボードの隣に立っている。このホワイトボードは私が来る前、アリモが倉庫から持ってきてくれたものらしい。龍の言うところでは、来た日は新品そのもので、ボードも真っ白だったらしいが・私には信じがたかった。子供たちが遊びすぎたようで、全体が青や黒でくすんでいた。私はその一番上に『鍵探し考察会』と黒で書いた。
「まず、話さないといけないことが、誰が人間界に戻りたいのか。こんなに広いと鍵も見つかるか分かんないし、このままここで過ごしたいって人もいるし。私は人間界に戻りたいし、鍵も全力で探したいと思ってる。他に、戻りたいって人、何人くらいいる?」
五人が、手を挙げた。光、晝眞、色珀、優子、実夏。
「五人――私を合わせて、六人か」そう言ったとき、もう一人が小さく手を挙げた。いつも騒いでいる仲良し四人組小学生の一人、蓮太郎だ。「……七人、ね」
仲良し四人組の他の子たちは、不思議と特に驚いた表情も見せなかった。
「じゃあ……鍵を探すのは、この七人だけがいいのかな?」
「でも、みんなで協力した方が早いんじゃない」実夏が言った。
「そしたら不利やろ。必要もないのに鍵探しに行くんか」龍が反論した。「したい人がすればええやん」
他の人も納得したように頷いた。
思っていたよりも早くその会議は終わった。私は七人の名前が書かれただけのホワイトボードを見つめた。子供たちはがやがやと部屋を出て行ったり、女子部屋や男子部屋に入って行ったりした。その時、背後に誰かの気配を感じて私は振り返った。
「あれ、蓮太郎くん。外行かないの?」
「その……質問があるから」
「あ、何?」
蓮太郎は周りをちらっと見た。この部屋にはもういつもの静かなメンバーしかいなかった。
「龍がね、昨日鍵は探しに行くって言ってたよ」
自分の名前を呼ばれてはっとしたのか、龍がこちらへやって来た。
「俺がどうした?」
すると蓮太郎は、じゃあね、とだけ言って部屋を出て行ってしまった。
「なんや悪いこと言っとったんか? 蓮は」
「いや、そんなこともなかったよ? 龍が鍵を探しに行くとしか言ってなかったけど」
「なんや、びっくりした」
「龍も探すって、本当?」
「……ま、まあ、大変やろ?」
照れているのだろうか、下を向いて頭をかいている。
「うん! すごく助かる!」
「そうか。良かったわ」
そう言って龍は私に向ってにっ、と笑った。




