第四十話「テレパシーと透視」
「良かったね、竹秋君。君の双子は相当無事なところにいるようだよ」いつも通りの博士ぶった口調で、どらごんは言った。
「無事って、どこにいるか分かったの?」
「まあね。この間言っていた情報交換で、僕の弟は君の双子と同じ場所にいるようだと悟ったんだよ」
僕たちは無事ではない。今だけ隠れ家にいても、あと数日で移動しなければ食糧が危ないし、下手をすれば処刑部に見つかってしまう。小竹とどらごんの弟がいる場所は、本当に無事なのか不安だった。だが、一応生きてはいるようだ。
「その……情報交換って、テレパシーとかいうやつ?」
「そうだよ。その時、僕の弟は王宮での生活について話していた。僕が知っているところ、彼と仲の良い女の子が二人いると。一人は明るくて意地っ張りだそうだ。もう一人は可愛い新人だそうだ。僕はその可愛い新人が、君の双子だと悟っている」
小竹が可愛いかどうかは分からない。僕にとっては普通だ。
「その後、彼は言った。鍵があるらしい、と」
「鍵?」
「彼らのいる王宮などがある世界は、明るい世界らしい。逆に、僕たちのいるこのヘヤの近くは、暗い世界だ。あっちには白いが空があるようだ。その二つの世界を繋ぐ洞窟には、鍵があるらしいのだ。今の話で分かったかな? 二つの世界を繋ぐ洞窟、つまりマツ君の家から始まる洞窟のことだ」
洞窟はあっても、鍵がかかっているということか……。どらごんのワープホール説はやっぱり外れたようだ。
「どらごん。ワープホールはどうなったの?」
「ないね。この世界には、そこまでのテクノロジーも発展していない。あの処刑部だってマジックを使う」そこまで言うと、どらごんはこほん、と咳をした。
「調査をしてくるよ」
そう言い残し、どらごんはマツの元へ歩いて行った。マツのテント家について聞くに違いない。一人になった僕のところへ、とことこと男の子がやってきた。寛太郎かな、と思って振り向くと寛太郎だった。
「お兄ちゃん、どらごんってテレパシー使えるの?」
どうしてお兄ちゃんになったのだろう。まともな呼び方をしてくれるのは杏琉と夜磨だけだろうか。そもそもマツが”にーちゃん”なんて言うから……。
「テレパシー……使えるらしいけど、本当なのかどうか分かんないよ。博士が言うことしか言わないんだし」
「その、ほら、ぼ……僕もテレパシーじゃないけどできるから……透視っていうやつ」
「透視!?」
何故か羨ましく聞こえるのは、気のせいだろうか。
「その……前、杏琉ちゃんが黒トラが近くに来てるって言ったとき、見えたんだ……トランプ二枚が、歩いてたの」
「そっか。壁が透けて見えたってこと?」
「うん。今は見えないけど、頑張ったらできると思う」
そう言うと、寛太郎はむーっ、とほっぺたを膨らませて壁を睨んだ。しかし数秒後、顔を真っ赤にして息を切らしながら残念そうに寛太郎は言った。
「やっぱりできないかな」
「いや、もしかしたら特別な時にできるのかもしれないよ。どらごんだって、寝てる時しかできないって言ってたし」
「うん……」
寛太郎が泣きそうな顔なのを見て、僕は抱きしめた。
「大丈夫、できるよ。僕は信じてるよ」
僕もその能力が欲しかったよ、と心の中で言いながら。
私も……透視能力……っ




