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第二十五話「想定」

「想定したとおりだね」

 廊下を見渡しながらどらごんは言った。片手にはペンライト。まだ光らせていないものを三本持っていた。

「あ、それ……見たことある」

 マツはペンライトが何か知らなかったようだ。だから蝋燭だけを使っていたのかもしれない。ポキッ、ポキッ、とどらごんは三本とも綺麗に折った。赤、青、黄色。

「はい」

 兄ちゃん、とどらごんは僕に青いペンライトを渡した。

「でも、なんでペンライト? このヘヤを脱出するわけでも……」

 そこまで言った時、はっとした。どらごんはチャラチャラと鍵を揺らしていた。

「想定したとおり、と言ったはずだがね」

 鍵を回すと、カチャリと音がして、開いた。しかし彼の持っている鍵は一つではなかった。左へ曲がり、ずんずんと進む。そこには、もう一つ僕達がいたのとそっくりなヘヤがあった。

「長い間閉じ込められている子がいる……はず」

 どらごんが鍵を挿し、ギギーッと錆びた音を立てながら鉄格子の扉を開ける。ペンライトを差し出すと、茶髪でくりりとした目の小さな少女と目があった。まるで小動物だった。

 極端に言うと、ペットにしたいくらいだった。純粋な瞳で、座り込んだまま入り口に立つ僕を見つめる。久々の人間に驚いて、でも安心しているようだった。そして、にこりと笑った。今までで、一番可愛かった。

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