第二十四話「緑色の光」
マツとどらごんは、もう何時間も二人で何やら話し込んでいた。僕は暇で仕方なく、壁に寄りかかりヘヤの外、つまり鉄格子を超えて、廊下のずっと奥にある小さな緑色の光を見ていた。
いつか家族旅行で南国へ行った時に見た、透き通った海の色に似ていた。その光は点滅することもなく、薄暗いこの場所で一番明るい何かの目印のように見えた。
しばらく目を凝らし続け、目が痛くなったので光以外を見ようと近くを見渡した。すると字が書いてある看板を見つけた。緑の光で読もうとしたが、どうやら日本語でも英語でもないのがわかった。特に重要にも見えなかった。五つの単語の最後に、スペードのマークが付けられていた。
二人の様子を見ようと、後ろを振り返ると丁度彼らも話終わった頃だったらしく、どらごんがこっちを見た。真剣な目つきで僕を見て、口を開いた。
「待たせたね。君に訊きたいことがある。マツ君の家は、真っ暗かい?」
「うん」
「ここから家までは、遠いかい?」
「うん。なんでマツに訊かないの?」
「君にも確認したかっただけだよ、兄ちゃん。マツ君の家の近くの洞窟は、とても真っ暗なところにある。どうして洞窟なのか。違うところにつながっているからだ。しかしこの世界の端っこに洞窟があるとすれば、何処に繋がっているか?僕たちは考えた末、ワープホールだということになったんだ」
やっぱり博士ぶっている以外ない。普通の人間が、どうしてワープホールなんてものに思いつけるだろうか。そもそもワープホールがあったら、どうなるんだろう。僕はどらごんが何か大事な秘密の情報を持っているに違いないと思った。
突然、ヘヤの外からたくさんの警報が鳴り始めた。廊下は赤く光り、マツが怯えて俺の袖を握った。鉄格子の外、緑の光があった場所を見てみた。その光は点滅し、いくつもの明るい赤色に囲まれ、ぼやぼやと死を待つ生物のように力なく光をもたらしていた。




