第二十話「夕食」
ここの子供たちは、もう長い間ここにいるのだろうか。そんなことを思わせるほど皆仲が良さそうだった。
一番年下のエイは、小柄というわけでもなく、三つ程上の子達と戯れていた。代わりに背が低くか弱そうなユウコがこの大きな“家族”の末っ子に見えた。
ふと見上げると、時計があった。短い針が7に届きそうだ。すると部屋の戸が開いた。トランプが顔を出すと、龍は立ち上がって開いた戸の隙間へ行き、しばらく話した後、私の方を振り向いた。
「もうそろそろ夜ご飯の時間やけど、俺と一緒に先行っとくか?」
「あ、うん」
「ん。じゃ、ちょこっと案内したるわ」
ついて来ぃ、と言わんばかりに手でジェスチャーをする。私は立ち上がろうと横にある棚に手をかけた途端、棚に触れた左手に痛みが走った。そこは、ガラスの手を握ったところだった。やっぱり、夢じゃなかったんだ……。
「怪我したん?」
「あ、前からなの……大丈夫」
「ん? あれ、何も見えへんけど」
「えっ」
確かに、手の平を見ても傷痕のようなものは何もなかった。気を取り直し、私はもう片方の手を使って立ち上がり、龍と一緒にその部屋を出た。
来る時にも通ったはずの廊下はよく見ると驚くほど豪華で、でも金の装飾は眩しすぎず心地よいところだった。階段を降りて少し歩いたところで台所があった。驚くことに、人間が食べるような食材ばかりが並んで、料理トランプが夕食を作っているところだった。
「もうすぐでできますよ。今夜はカレーです」
私達は食卓に着いて、しばらく話した。するとドタドタという音と共に、部屋にいたみんながやってきた。
「うわ、カレー!」
「俺にんじんなしがいい」
「わたしまだお腹すいてなーい」
中高生達が小学生一人一人にカレーを入れた後、自分たちの分を入れる。
「いただきます」
王室での初めての夕食が、始まった。




