第十六話「トランプの国」
周りからは声が聞こえ始め、辺りの明るさは雲一つない晴れの日のようになった。もっとも、空は青くはなく白かった。初めは黒いと思っていた壁も濃い緑で、綺麗な金色の絵が描かれていた。その絵は空からの光に反射してキラキラと光っていた。その絵をうっとりと眺めていると、シャルルが言った。
「ああ、これは厄除けの図です。大昔に描かれたものです」
「厄除け?」
「こちらとは別のトランプの国があるのですが、そこに住んでいる悪の組織は明るいところや眩しいものが苦手という古代からの噂があるのです。ですので昔の画家が王の命令で全ての壁に描かれたと云われております」
「そうなんだ……」
濃い緑の壁でできた道は街の広場につながっていて、そこには数枚のトランプがいた。そのうちの一枚がこちらに気付き、近づいてきた。
「シャルル様! またどこへ行っていたというのですか。王が探しておりますよ、多分。あれ、女の子を連れてますね。ナンパしたのですか、シャルル様」
「ナンパなどしませんよ。この子は双子です、あっちの仕業でしょう」
「黒トラですか、シャルル様! またまた怖い所まで行ったのでしょう?」
「無事です」
「そうですか、あ、王室に行くのなら私がこの子を案内してもよろしいですよ」
「親切心に感謝申し上げます。しかしこの子はまだ来たばかりで不安も多いでしょうことですから、私が最後まで連れて行きます。ついでに王様にも会っておきます」
「安心しました、了解です!」
お喋りなトランプが去って行ったあと、私はシャルルに訪ねた。
「あの人、誰だったの? あと、黒トラって、動物か何か?」
「あの方はお喋りなトランプです。名前を知る必要はないでしょう。黒トラは、黒いトランプの略で、悪の組織のこの国での呼び名です。私が知っているところでは、動物はいません」
シャルルが歩き始めたので、私は少し駆け足で追いついて、トランプの国の中心へ向かって歩いて行った。




