第十一話「倉庫」
マツが言ったことは、あっていた。彼は蝋燭も電灯も持たずに、ずんずんと前へ進んでいき、三十分くらい経った頃にとうとう大きな倉庫のような場所に着いた。
二階建ての家の高さに、幅は数メートルで、全体的に細長い変わった建物だった。
それに不思議だったのは、マツの家は蝋燭なしじゃ全く見えなかったのに、今、蝋燭もなしで倉庫の存在がわかるのだ。金の装飾が付いた、濃い緑色の倉庫が。
「じゃあ、中に入って食べものを持ってくるから、ここで待ってて」
しばらく待っていると、何者かが倉庫から出てきた。
「あ、マ……誰?」それはマツではなく、ハートマークの付いたトランプだった。
「なんだい、君は。一人で倉庫に来て、待ち合わせかい?」
「あ、いえ、友達が中にいるので、待っているんです」
「友達? 倉庫には誰もいなかったよ」
「えっ」
「まあ、私は先を急ぐので」
僕は気になり、倉庫へ入った。少し行くと、マツがいた。僕は、ほっと胸をなでおろした。
「待っててって、言ったのに」
「えっと、少し、中身が気になったんだ」
僕とマツは持ってきていたバスケットにマツが選んだ食糧を入れ、倉庫を出た。
「これ全部無料なの?」
「んー、そうみたい。有料だったらマツ、食べれてなかったよ」
「そうだな」
バスケットの中には、野菜、お菓子、穀類、そして蝋燭二本が入っていた。
「ねえ、マツ。どうして懐中電灯じゃなくて蝋燭を使うの? 懐中電灯のほうが長く使えると思うんだけど」
「懐中電灯ね、ないんだ。倉庫に一回探してみたけど無かったよ。それに蝋燭も以外と悪くないよ」
どんどん暗くなっていく長い廊下のような道を、少し重いバスケットを抱え、僕たちは延々と歩いていった。




