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第十話「きっかけ」

 二年前。マツが小学校を卒業する前のことだった。その日は友達とお別れパーティー兼マツの誕生日会をすることになっていたらしい。

 誕生日プレゼントを貰ったあと、マツの部屋でみんなで雑談をしていたという。その時、部屋の一部に黒いワープホールが現れ、友達に冗談で(ほの)めかされて入ると、この暗い見知らぬ場所だったらしい。

 そして小さなクマのぬいぐるみと本や雑貨類は、その日に貰った誕生日プレゼントで、当時とても女ぽかったマツはぬいぐるみを貰うことになったのだ。

「……じゃあ、この緑のテントと、布団は?」

「倉庫で見つけたよ」

 いろいろすごいと思った。普通なら中学生、いや小学校高学年というべきなのか、がこんな真っ暗な場所で一人で生きていけないだろう。それに話によると食糧もテントも布団もある倉庫を自力で見つけたというのだから、物分りの悪い彼だけれども、運の良さは人一倍のように思えた。

「ねえ、君は怖くなかったの?一人で、真っ暗で」

「マツ、こう見えて暗いところへっちゃらだよ」

「そうか。君以外は、そのワープホールには、入って来なかったの?」

「残念ながら……ね、そうみたい。だからにーちゃんに会えて嬉しいよ!」

「うん、僕も他に人間がいて安心したよ。小竹はいないけど……」

「うーん。とりあえずマツ食糧取ってくるよ。にーちゃんも、来る?」

「倉庫に行くのか。うん、僕どんなものか見てみたいよ」

「よし。じゃ、行こう」

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