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第5話:海老のアヒージョ

今日の記録は、煮え立つ「透明」と、剥き出しの回路。

オイルの中で海老とニンニクが踊っている。

私はそれを、右目に埋め込まれた**個人用環境デバイス『PED(Personal Environment Device)』**を通して見ている。

PEDは、私の主観世界を最適化するための「レンズ」だ。

現実の無機質な風景を、美味しそうな色彩、心地よい調理音、そして食欲をそそる香気データへと変換し、脳に直接送り込んでくれる。

だが、今日のPEDはどこかおかしい。

海老の赤色が、一瞬だけ青く反転した。

煮え立つオイルの音が、ノイズ混じりの電子音に化ける。

デバイスが私の視覚野に投影する「献立のレシピ」が、バグった文字列の羅列となって視界を塞ぐ。

『Error: Sensory Synchronization Failed.』

私はこめかみを強く押さえ、システムの再起動を試みる。

数秒後、視界は再び「完璧な食卓」へと戻った。

そこには、香ばしい香りを漂わせる、完璧なアヒージョが鎮座している。

先ほどまでのエラーは、もはやログのどこにも残っていない。

本日の事故、0件。

世界は、再び正しくXXXXXXXX


第5話、読んでいただきありがとうございます。

女子会で人気のぷりぷりの海老を使ったアヒージョです。

【こだわりレシピ:濃厚海老アヒージョ】

海老の殻から出る出汁がオイルに溶け出すよう、弱火でじっくり火を通すのがポイントです。残ったオイルには旨味が凝縮されているので、バゲットを浸して最後の一滴まで楽しんでくださいね。

最近、愛用のデバイスの調子が少し悪いみたいです。

メンテナンスが必要かもしれません。

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