第2話:厚切りトーストと自家製ジャム
目が覚めると、視界の端で『PED』が静かに起動する。
今朝の記録は、柔らかな「白」から始めよう。
まな板の上に置いたのは、近所のベーカリーで手に入れた食パンの塊だ。包丁を入れると、指先に吸い付くような弾力とともに、小麦の甘い香りがふわりと弾ける。あえて厚めに、贅沢な幅で切り分ける。
熱したトースターの中に、それを滑り込ませる。
タイマーが刻むチクタクという音だけが、朝のキッチンに響く。
次第に、パンの表面が黄金色に色づき始め、香ばしい匂いが部屋の隅々まで満ちていく。
「チン」という乾いた音が、朝の完成を告げる。
皿の上に乗せたのは、先日煮込んでおいた真っ赤なイチゴのジャムだ。熱々のトーストの上で、ジャムが艶やかに溶け出していく。
傍らには、丁寧に淹れたブラックコーヒー。
窓から差し込む朝日は、不自然なほどに明るく、埃一つ立たないフローリングを照らしている。
私はその完璧な光景を、ただじっと見つめる。
本日の事故、0件。
記録は、更新された。
第2話:後書き
第2話、読んでいただきありがとうございます。
忙しい朝こそ、パンを厚く切るだけで少しだけ心が豊かになる気がします。
【こだわりレシピ:至福の厚切りトースト】
パンを焼く前に、表面に格子状の切れ目を深く入れてみてください。そこにバターを落としてから焼くと、中までじゅわっと染み込んで、お店のような味わいになります。自家製ジャムは、お砂糖を控えめにしてレモン汁を多めにすると、パンの甘みがより引き立ちますよ。
香ばしい匂いに包まれる朝は、それだけで「良い一日」を約束してくれるような気がします。
次は、昼下がりの静かな「緑」の記録をお届けします。




