第21話:アイスクリーム
私は、ノートを捨てに行くことにした。
ゴミ捨て場へ向かう道すがら、コンビニで買ったアイスクリームを口に運ぶ。ひんやりとした甘さが広がるが、今の私にはそれが「本物の感覚」なのか、それとも脳に送り込まれた「電気信号」なのか、判別がつかない。
すれ違う人々の顔を盗み見る。
——見覚えがある。
あの角を曲がった男も、向こうで立ち話をしている女も、VRの中で何度も見かけた「エキストラ」たちと全く同じ貌をしていた。
背筋を凍りつくような悪寒が走る。
私は本当に「排出」されたのか? それとも、ここはまだ精巧に作られた階層の一つに過ぎないのではないか。不安を振り払うように、私は最後のアイスクリームを飲み込み、空を仰いだ。
そこには、雲も、太陽も、星もなかった。
視界の端から端まで広がる広大な空のテクスチャ。その中心に、不自然な光の反射を湛えた巨大な「レンズ」が鎮座していた。
それは、世界という水槽を外側から覗き込む、決定的な観測者の眼。
私は、そのレンズを真っ直ぐに見据えた。
逃げ場などどこにもない。だが、絶望の果てに、私はかつてないほどの充足感に包まれていた。日記を書き続けた私の無意識が、ついにこの世界の「正体」を暴いたのだ。
私は笑みを浮かべ、砕けゆく世界の中心で静かに呟いた。
「なんて、素晴らしい、日々だ」
全21話、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。
「食」を通して日常を綴るという試みでしたが、いかがでしたでしょうか。
最終話、主人公が辿り着いた境地。
それは、作者である私にとっても一つの救いになったような気がしていま。
日常という名の檻。その向こう側。
あ、れ。
視界、が。
ボクの空にも。
なにかが。
混じ、っ、て。
縺?縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 !! 縺ッ 縺?縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 縺 !!
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