表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/24

第14話:イカの塩辛

白昼の光はもはや、黄金色を維持することさえ止めていた。

街は、色褪せたセピア色の静止画のように。私はプロフの店先で、小鉢に盛られた暗褐色の泥を見つめていた。イカの塩辛。この清潔な「聖域」において、内臓を熟成させるという行為は、最も忌むべき「不純」だ。

「いいか相棒、塩辛ってのは、腐敗と熟成の境界線だ。この街も同じさ。お前が文字を綴るたび、システムは熟成を通り越して、修復不能な腐敗へと突き進んでいる」

プロフの声が、多重録音されたノイズのように不自然に反響する。

185センチの視界。その高い視点から外を見ると、街の「空」が物理的に剥がれ落ち始めていた。空のテクスチャが裂け、そこから巨大な光ファイバーの束のような「情報の触手」が垂れ下がり、住人たちを釣り上げては琥珀色の霧へと変えていく。

「……私は、これを完成させなければならないのか」

私は震える手で、塩辛を口に運んだ。

脳を直接刺すような過剰な塩気と、生々しい内臓の臭い。

デバイスが「森林の香り」で上書きしきれないその悪臭こそが、自分がまだ「データではなく、生きた肉の塊」であることの、最後の手応えだった。

私はノートに、次の一文字を刻んだ。

その一瞬、視界の端で「正常」を意味するインジケーターが、断末魔のような音を立てて消滅した。

イカの塩辛は、あの独特のコクと塩気がくせになりますよね。

白いご飯が欲しくなりますが、ここでは手に入らないのが残念です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ