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双国ノ巫女 〜九尾の力を持つ雪女の姫は、戦場でその力を解き放つ〜  作者: Su
出会いと誓い――護衛テュエルとレイラの軌跡
35/64

魂の迎え



リア

「ん……………………」


 


ゆっくり目を開け、身を起こす。


 


「…………レイラ……?」


 


――朝。

隣には、もうレイラの姿はなかった。


 


 


食堂へ向かうリア。


 


「リア殿、おはようございます^^」


 


リア

「おはよう、爺」

「レイラは?」



「祭りは夕方からですが、すでに準備へ向かわれました」



リア

「早いわね」


 

「全て最終確認をしに行かれたのでしょうな」


 


「それまでの時間は、ご自由にお過ごしください」

「夕方には、姫さまもリア殿もご準備がございますので、お戻りくださいね^^」



リア

「わかったわ」




ナイル

「あれ、リアちゃん早いね」


(風呂上がりでほかほか)


 ロイロと一緒に出てくる。


 

リア

「二人とも、朝風呂?」



ロイロ

「ここの朝風呂は格別ですからね

 リアも一緒にどうっすか?」



リア

「……!!」

「なに言ってるのよ!!」



昨夜の女子会で

「キスはした」と告白した自分を思い出し、

顔が一気に熱くなって、

反射的にロイロを突き飛ばす。



ロイロ

「うおっ?!」



シュン

「おはよー……って、なにしてんの」

(墨牙さん倒れてるけど)



リア

「あーw なんでもないの、なんでも^^」


 


――――――――――――――


 


朝食後。


 


シュン

「ご馳走様でした!」


 


ロイロ

「今日、いろんな出店が出るって言ってたよな」


 


シュシャ

「うむ!双国の出店がどんなものを出すのか、楽しみだな!」



シアン

「……お腹、空かせておかないとね」


 

リア

「ほんとねw」

「今日は、遊んで、踊って、食べて、楽しまないと^^」



少し沈黙。



シュン

「……リア」

「お祭りが終わったら……ここ、すぐ出るんだよね?」


 


声が、少しだけ寂しそう。



リア

「…………そうね」

「ずっとは…居られないわ……」



ナイル

「寂しいよね……」

「レイラちゃんたちと、お別れするの……」


 


リア・シュシャ・ロイロ・シュン・シアン

「……………………」


 


自然と、言葉が止まる。


 


レオ

「また、遊びに来ればいいじゃん」


 


――はっとして。



シュシャ

「そうだな!」


リア

「もちろん!」


シュン

「絶対、来よう!」


シアン

「……うん、俺も行く」


「はっはっはっw」

「もちろん、いつでも大歓迎です^^」



「姫さまも、テュエル殿も、私も」

「いつでも、お待ちしております^^」



リア

「……ありがとう」


胸の奥に、

あたたかいものと、少しの寂しさを抱えながら――

それぞれ、祭りの時間へと向かっていく。



リアたちは祭りが始まるまでの間、

双国の街を軽く散策したり、

シュンは薬草の調査をしたりして過ごした。


子供たちの笑い声、屋台の準備をする人々の活気。

復興を終えた街には、確かに“日常”が戻ってきていた。


笑い合い、少しだけ安らぎを味わいながらも、

リアの胸の奥には、これから行われる儀式への緊張が静かに根を張っていた。


そして夕方——

レイラとの約束の時間が、刻一刻と近づいてくる。


 


――――――――――――――――――――


 


リュウコへ戻ってきたリア一行。


到着するとすぐ、

男たちはリアとは別の場所へ身支度のために案内された。


リアは爺に導かれ、奥まった部屋へ向かう。

家臣たちが待っており、慣れた手つきで支度を始めた。


赤・白・金を基調とした祭服。

袖を通すたび、布の重みと意味がリアの肩にのしかかる。


裾や袖口には、藤色の糸で繊細な模様が縫い込まれている。

その淡い色彩は、リアの瞳や髪をどこか思わせるものだった。


支度が整うと、爺に促され、隣の部屋へ通される。




その部屋には、すでに支度を終えたテュエルと——

鏡越しにリアを見つめ、微笑むレイラの姿があった。


夜の闇を思わせる深い紺の衣。

裾には、金糸で黄泉花の紋が静かに縫い込まれている。


 

レイラ

「リア、おかえり」



リア

「レイラ……綺麗……!」



レイラ

「……似合っている。お前の色だな。」



リア

「ありがとう、レイラ

 貴女こそ……まるで月の女神みたい」


 


互いに目を合わせ、自然と微笑み合う。


 


テュエル

「当然です。レイラ様は月よりも美しく儚いんですから」


リア

「ほんとねw

 テュエルがレイラの身支度を? さすがね」


テュエル

「素が美しすぎる故、ボクは飾りをしたまでです」


 

くすり、と空気が和らぐ。



レイラ

「行こうか…………」


リア

「……えぇ……」


 

だが、二人の瞳の奥には、

言葉にしない「別れの予感」が確かに揺れていた。


胸が締めつけられるような感覚。

それでも二人は、同じ気持ちだと理解していた。


 


ほどなくして、城門前の馬車へ。


着物に着替えたロイロたちも、

別の馬車で同じく進んでいく。



空は茜から紫へと移ろい、

遠くから祭りの太鼓の音が聞こえ始めた。



リア

「……賑やかね。」



レイラ

「今日は、黄泉に眠る者たちが帰る日だ。

 生きる者も、死せる者も……共に時間を共有する……」



揺れる馬車の中。

リアはふと、隣に座るレイラの横顔を見つめる。


胸の奥が、静かに締めつけられた。


それは悲しみではなく、

尊敬と愛情が混ざった、名のない痛みだった。


 


――――――――


 


現地に着くと、すでに人々が灯籠を手に集まっていた。


市場の明かりが夜をやわらかく照らし、

黄泉の花弁が風に舞っている。


 

レイラ

「ここから先は、しばし自由に過ごせ。

 祭りの中盤、追悼の舞の時間までは楽しむといい……」



リア

「レイラは?」



レイラ

「私は……少し母上と父上の所へ……」



そう言って、レイラは一歩下がる。

テュエルを伴い、人の波の中へ静かに消えていった。



その背を見送りながら、

リアの胸に小さな不安が灯る。


だが、それを振り切るように、

ロイロやシュン達と共に祭りの輪へ戻った。


――――――


 

子供たちは狐の面を付け、出店ではしゃぎ回り、

大人たちは龍や狐の面をつけ、酒を酌み交わしている。



レオやシアン、シュシャも狐の面を手に入れ、

屋台の食べ物をつまみながら、思い思いに歩き回った。


笑い声と音楽が、夜に満ちていく。


 


やがて——


  


太鼓の音が、ゆっくりと静まった。


代わりに、

風鈴のような澄んだ鈴の音が響き渡る。


 


追悼の時。

黄泉の扉が開かれる合図だ。


 


村人たちは演奏の準備を整え、

中央の祭壇へ、レイラが姿を現す。


 


リアは「そろそろだ」と察し、

人々の間を縫って祭壇へ向かう。


 


レイラは、ふと振り返り——

リアの姿を見つけた。


 


レイラ

「――魂を迎えに行こう。」


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