表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双国ノ巫女 〜九尾の力を持つ雪女の姫は、戦場でその力を解き放つ〜  作者: Su
出会いと誓い――護衛テュエルとレイラの軌跡
34/64

静かな夜の女子会ピロートーク


 大浴場から上がり、

一行はそのまま食堂で食事をとることになった。


 


――――――――――――――


 


シュン

「ほんと、何度入っても気持ちいい風呂だよね」


 


シュシャ

「全くだ!

 食事も美味いし、至れり尽くせりだな!」


 


――そこへ、少し遅れて――


 


リアが食堂に到着する。


 


ロイロ

「リア、もう飯だぞ」


 


リア

「ごめん、少し遅れちゃったわね」


 


ナイル

「大丈夫だよ、ボクたちも上がったばっかりさ」

 

「湯加減サイコーだったよね♡

 景色も良くてさ♡」



 


ふと――冷たい殺気が、

ピシリと一行を貫く。


 


テュエル

「………………」

「……どんな、景色……ですかね……?」


 


ナイル

「い、いや、それは……」


(やばいwww)


 


シュン

「ゆ、夢だよね!!」

「ほんと夢みたいだった!」

「夢、見てたんだよ!!」


 


全員

「そう!夢だ!!夢!!!」


(苦し紛れ)


 


リア

「?」

「どうしたの?」


 


ナイル

「なんでもないよリアちゃん!!」

「ほんとになんもないから!!」

(お願い、掘らないで……)


 


 


――そこへ――


 


レイラが食堂に合流する。


 


ドキーーーーンッ!!!!


 


男ども全員、

反射的にうつむく。


 


――脳裏をよぎる、

 ついさっきの大浴場。

 湯けむり。

 ナイスバディ。


 


テュエル

(……やっぱり覚えているな……)

(……殺すか……)


 


――男どもに、

 無言の殺意が向けられる。


 


※リアは状況を把握していない。

※レイラも、何が起きているのか分かっていない。


 


レイラ

「……ん?」

「皆、待たずに食事を始めていてくれてよかったのに……」


(※空気は読まない)


 


リア

「レイラと一緒に食べたかったの」


 


ナイル

「そ、そうそう!

 やっぱり主役がいないとね♡」


 


レイラ

「……すまないな」


(主役?)


 


レイラ

「もう復興作業が終盤だと、先ほど聞いた……」

「本当にありがとう……」

「私は、ほとんど参加できていないのに……」


 


シュン

「お墓作りに行ったり、

 お祭りの準備で忙しかったんだし、しょうがないよ」


 


シュシャ

「うむ!

 お互い、やれることをやればよい!」


 


シアン

「……うん、気にしないで」


 


レイラ

「……ありがとう」


 


シュン

「そういえばさ、

 お祭りって踊ったりするだけ?」

「他にも何かあるの?」


 


レイラ

「笛や鼓、笙や三味線を用い、歌い踊る」

「子供たちは出店で遊び、

 大人たちは屋台で食べ歩き、酒を飲む」


 


「そして――

 祭りの終盤に、花火を打ち上げる」


 


「雲一つない夜空に咲く花火は……

 圧巻だぞ」


 


シュン

「すごい!!」

「絶対楽しいじゃん!!」


 


シュシャ

「屋台の食べ歩き!」

「楽しみだ!!」


 


ロイロ

「いいねぇ……!」

「酒も飲めるのか」


 


ナイル

「花火なんて……」

「ロマンチックじゃん……♡」


 


シアン

「……出店、遊びたい」


 


レオ

「双国の花火はすげぇらしいからなぁー!」


 


リア

「すっごく楽しみね!!」

「うまく踊れるか心配だけど……」


(しかもレイラと……)

(高身長で美人なレイラの隣で、

 私……ちんちくりんにならないかしら……w)



レイラ

「うまく踊る必要はない」

「……それに、きっと」

「故人たちが、教えてくれる……」


 

リア

「………………故人……」

「なんだか……神秘的ね」



――驚きつつも、

 レイラの在り方を自然に受け入れるリア。



レイラ

「私も、実際に祭りに足を運んだことはない」

「……だから……楽しみだ」


 


――ふっと、微笑む。


 


皆、その笑顔に空気が和らぐ。


 


――が。


 


テュエル

(※笑顔を見るなと言わんばかりに睨まれる)


男ども

(……見てない、見てない……)


(※慣れてきた)



――――――――――――――


 


「ごちそうさまでした!」


 


皆で手を合わせ、

それぞれ自室へ。


 


「おやすみ!」


 


そう言って別れ、

夜は静かに更けていった。


 そして作業に追われ、あっという間にお祭りの前日になる。


――――――――――


 


シュン

「あぁぁぁぁぁーーー!!!」

「ほんと、お祭り前日までに復興作業終わったの奇跡!!」

「つかれたーー!!」


 


レイラ

「シュン……ありがとう」

「本当に助かった……」

「長い間、苦労をかけたな……」


 


少し迷ってから、真剣な目で。


 


「……何か、してほしいことはあるか?

 できる限りのことはしよう」


 


シュン

「……………………えっ……♡」


(期待しつつ――)


――背後の気配。


(……っ)


「……いや…………大丈夫……」



――シュンの背後。



テュエルの視線が、

槍のように突き刺さっている。



(※願いを断念)



リア

「いよいよ、明日お祭りね!!」

「楽しみ!」


 


ロイロ

「6日間も準備したんだろ?

 ちゃんと楽しませてくれるんだろうな?」


 にやりと口角を上げる気配



レイラ

「……期待に応えられるとよいが」

「私なりに、精一杯もてなす準備はしたつもりだ」


「明日は……」

「すべてを忘れて、楽しんでいってくれ」



皆、自然と笑顔になる。


 


――――――――――



リア

「じゃあ、レイラ」

「おやすみ!」


レイラ

「………」



――立ち去ろうとするリアを、

 目で追うレイラ。



リア

「?」

「どうしたの?」



レイラ

「……リア」

「今日は……一緒に床に伏せないか?」



リア

「……え!!?♡/////」


 


一瞬、鼓動が跳ねる。


 


テュエル

「……!」



――その前に。



レイラ

「……テュエル」

「今日は、ゆっくりリアと話したい」



「外の護衛もいらない」

「お前も、ロイロたちと共に、ゆっくり過ごせ」



テュエル

「……ダメです」

「それでは、誰がレイラ様の護衛を?」


 


レイラ

「……凱帝国からの脅威は、しばらくない」

「心配するな」


「何かあれば、すぐ呼べばいいだろう?」



テュエル

「……呼べなくされたら、どうするのです?」



レイラ

「………はぁ…、……お前は

 私を、信じてくれぬのか……?」



――静寂。

 


テュエル

「……っ」


「…………………………」


深く息を吐き、

感情を押し殺すように。


「……失礼いたしました……

 ……では……ゆっくり、おやすみください……」


敬礼。

 

しょんぼりとした

背を向けて去っていく。


レイラ

「……すまないな、テュエル」

 


リア

「……いいの?」



レイラ

「あぁ……

 あいつも、分かっている」



そう言って、

寝所へ入り、扉を閉める。



リア

「……なら、いいのだけど……」


(少し心配)


 

――――――――――――――――



――自然と、

 女子会ピロートークが始まる。




レイラ

「…………3年……」

「たった3年、離れていただけで……」


「以前よりも……」

「分離することを、拒むようになってしまったな……」


リア

「……………レイラ」



静かに、言葉を選ぶ。 



「あなたは、これから先」

「何十年も、もしかしたら……

 何百年、何千年と生きるかもしれない」


「でも――」

「私とレイラが会った、この数日」


 一拍


「…色褪せると思う?」



レイラ

「……!

 忘れる日など、絶対にない!」


 すかさずに反論する。


リア

「……くすっ、

 ……よかった」


「数日とか、何年とか」

「日数なんて、ただの数字よ」


「……想いの強さが、そうさせるの」



レイラ

「…………」



リア

「だからね……?」

「テュエルが、レイラと離れていた3年」


「どれだけ寂しくて」

「どれだけ、会いたかったか」



「考えてあげて?」


「彼にとっては……」

「何千年も待っていたような気持ちだったと思うわ」



レイラ

「………!」 


言葉を受けた瞬間、

レイラの瞳がわずかに揺れる。


瞬きをひとつ、落とすようにして――

ゆっくりと視線を伏せた。


「…………ほんと……」

「私は、主としても……失格だな……」


 低く、自嘲気味な声。


「テュエルの気持ちを……」

「理解しようともしなかった……」



リア

「……大丈夫」


微笑んで。


「テュエルはね」

「レイラの全部を、受け入れる器を持ってる」


「だから……」

「たまには、ちゃんと口に出してあげて?」


 

レイラ

「……そうだな……」


少し微笑み返す。


「リア……」

「毎回、すまない……」



リア

「謝らないで」


「私だって、間違えるし」

「傷つけてしまうこともあるわ」


レイラ

「リアが…………?」



――ハッとして。



「……ロイロのことだろう?」

「どこまで、いっているのだ?」



リア

「ひゃい?!////」



レイラ

「?」



リア

「ロ、ロイロと?」

「……なんで……?///」



レイラ

「?違うのか?」


(匂いが、想い合っている匂いなのだが……)


リア

「……キ、キスはしたわ……」///



レイラ

「接吻か」

「では、婚姻を結ぶのか?」



リア

「ひえぇぇぇぇえ?!////////」


「そ、そんな話……」

「まだ全然……!!」


「というかまだそんなんじゃ…!」

 


レイラ

「?自分から言わぬのか?」


リア

「そ///そんな恥ずかしいこと、言えないわ!!」


レイラ

(……恥ずかしいことなのか……難しい……)


リア

「も、もう!」

「私のことより、レイラは?!」


「テュエルと……どうなりたいの?」



レイラ

「……?」

「どうなりたい……?」


(本当に、分からない)



リア

(テュエル……)

(この調子じゃ、苦労するわね……w)


 

――――――――――――――

  その頃・男サイド

――――――――――――――

 


テュエル

「っしゅ!!」


シュシャ

「む?風邪か?」


テュエル

「いえ……多分、違います……」



――後ろでは。



レオを筆頭に、

男どもが枕投げで大騒ぎ。


――――――――――――――


 


レイラ

「……私は……どうなりたいのだろうな……」



「テュエルが護衛である限り」

「婚姻は、結べぬが……」


 

リア

「……そうね」

「テュエルがいると、無理ねw」


「じゃあ、質問を変えるわ!」


 一拍


「テュエルって、どんな人?」



レイラ

「……えぇと…」

「……よく喋り」

「いつも笑顔で」

「時々、頑固で……世話焼きだ」


ふっと、小さく息を漏らす。


「私が困っているときは……」

「必ず、そばにいる」



リア

「……それ、もう惚気じゃないw」


「気づいてる?」

「テュエルの話してる時、いつも笑顔よ?」


 

レイラ

「…………」


(惚け……?)


 

リア

「ほんとは……好きなんじゃない?」


レイラ

「………………」



リア

「テュエルが、また離れていくこと……」

「想像できる?」



レイラ

「……嫌だ……!」


思わず、声が漏れる。

 


リア

「……ふふっ」


「焦らなくていいよ」

「テュエルも、同じ想いだと思うから」


「でも……」

「たまには、口に出してあげて?」


「察するの、苦手そうだもの」


 

レイラ

「………………わかった……」


 こくりと頷く


(同じ……想い……か……)


 


リア

「もう、寝よっか^^」


レイラ

「……あぁ……」


リア

「……お祭りが終わったら」

「私たち、発つわ……」


「……また、会えるかな?」



レイラ

「……必ず会える」

「“時間の長さ”など、関係ないのだろう?」


 

リア

「……うん……そう……だね……」



――やがて。



リア

「すぅ……すぅ……」


 


レイラ

「……くすっ…

 …かわいいな……」


「……おやすみ、リア……」


 


リアの髪を整え、

そっと、髪に口付けを落とす。



レイラ

「……明日が……最後の夜か……」



胸に、

小さな痛みが走った。


 


――蝋燭の灯が消え。


 


レイラも、

静かに眠りへと落ちていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ