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双国ノ巫女 〜九尾の力を持つ雪女の姫は、戦場でその力を解き放つ〜  作者: Su
出会いと誓い――護衛テュエルとレイラの軌跡
27/66

テュエルが嫉妬で限界突破!?姫さまを巡る人間関係がカオスすぎる


シュン

「落ち合う予定だったわけじゃないの?」



「はい……。

 お伝えしておけばよかったと……どれほど悔やんだことか。

 私は、ずっとお待ちしておりましたが、

 一向にこちらへ来られないので……。」


「凱帝国に連れ去られたのか、

 それとも何かあって亡くなられてしまったのかと……

 ずっと、心配しておりました。」


「……姫さまが生きていると知っていれば、

 すぐにでも、お力になって差し上げられたのに……」



リア

「……でも、また会えた」


「……!」


リア

「よかったわね!」


「はい……よかったであります。

 これからは、誠心誠意、お支えして参ります」

(涙を滲ませる)

 


シュン

「それにしても、

 頂上でずっと待ってるなんて、退屈だったろうに……」



「それが……そうでもないのですよ」


 きらりと眼鏡を光らせる


「?」

一同


「この私め……

 全く戦闘のできない、ただの役立たずの蜘蛛男ですが……」


「こう見えて、実は――

 刀鍛冶なのでございますよ!」



ロイロ

「なにっ!?

 武器作れるのか!」


「はい。

 新しい作品を作ることに没頭しておりましたので、

 退屈ではございませんでした」


ナイル

「すごいねぇ!

 爺さまの作品集とか、見てみたいなぁ」


「見せて差し上げたい気持ちは山々ですが……

 私の作品は、全て頂上の私の家にございまして。

 人間には、少々過酷な環境かと……」



ロイロ

「残念だな……」



「………………!」


(何かを閃く)



「ロイロ殿!

 あなたの槍――

 私が少し、鍛え直しましょう!」


(刃こぼれしておりますし)

 


ロイロ

「おぉ!マジか!

 めっちゃ助かるーーー!!」



「皆さまの武器もお預かりすれば、鍛え直しますぞ」


 と爺は続ける。



ナイル

「ボクは釵だからなぁ……あと暗器」


「釵でしたら、形状の調整と手入れ、磨き上げをいたしましょうか?^^

 暗器も、いくつかお分けできますぞ」


ナイル

「うっそ!すごく嬉しいよ爺さま♡」



シアンは静かに弓を差し出す。


シアン

「弓も平気…?」

 


「はい、承ります^^

 弓本体の張りと反り、整えましょう。

 あわせて、矢も弓に合うものを選別してお渡しできます」

 


シュシャ

「私は……大刀だからな……」

(少し言いにくそうに視線を落とす)


 


「シュシャ殿の大刀でしたら、刃の調整と手入れ、研ぎ直しをいたしましょうか?^^」


 


シュシャ

「……いいのか?」

(申し訳なさそうに)

「かなり重いし、手間もかかるだろうに……」


 


「問題ございませんぞ^^」


 


シュシャ

「おぉ!頼む!」

(少し照れつつも、嬉しそうに頷く)


 


――楽しげなやり取りを眺め、

リアは、自然と微笑む。


 


その時、

席を外し、レイラの部屋へ向かうテュエルに気づく。


 


リア

「私も、行ってもいい?」


 


テュエル

「……ご自由にどうぞ」


(少し、嫌そう)


 


リア

(クスッと笑う)


 


――――――――――――――――――


 


レイラの額に乗せた氷嚢を取り替えるテュエル。



リア

「……熱、まだ下がらないわね」



テュエル

「あれほど無茶をしましたから」



リア

「ええ……。

 自分自身には、あの治癒の力が効かないなんて……

 辛いわね」



テュエル

「……昔から、

 少しでも体が辛くなると、すぐ仮眠を取られたり、

 よく眠る方でした。」


「それが、ご自身の修復に必要だったことだったとは……

 当時は、全く気づいておりませんでしたが」


 リア

「九尾……雪女……不思議ね。

 すごい能力なのに……

 こんなに穏やかで、優しい人が妖だなんて」



テュエル

「……昔から、気苦労の絶えない方でした。」


「侍女や使用人の困りごとを察しては、

 誰よりも早く動かれて……。

 そのせいで、

 “心が読める”“未来が見える”などと、

 恐れられることも多かった。」


「ですがレイラ様は、

 そうした者たちにも理解を示される方でした。」


「詰め寄ることも、権力を振りかざすこともせず……

 ただ、人と距離を取り、

 静かに暮らす道を選ばれたのです」



リア

「五感……霊力の視える目……。

 見たくないものも見えてしまう世界。

 私には、想像することしかできないけど……

 本当に、苦労したのでしょうね」



テュエル

「……だから俺は、

 一生、レイラ様のおそばについていきます。」


「苦労も、外敵も、すべて排除して……

 甘やかして差し上げたいのです」


リア

「ふふ。

 テュエルなら、きっとやり遂げられるわ」


 少しの沈黙


「…………じゃあ

 邪魔しちゃ悪いし、戻るわね」



踵を返そうとした、その時。


 

テュエル

「……………………あ…………した」



リア

「え?」



テュエル

「……ありがとうございました」


 少し、ばつが悪そうに。



リア

「え?どうしたの?急に」



テュエル

「最初は……

 あなた方が凱帝国へ連れて行かれようが、

 どうなろうが、どうでもよかった。」


「凱帝国が強くなろうが、

 煌龍国が勝とうが負けようが……

 双国が無くなろうが、俺には、関係がなかった。」


「ですが……

 あなた方が双国に足を運び、囚われ、

 レイラ様と出会い、心を通わせてくれたお陰で……

 俺とレイラ様は、再会できたのです」



リア

「……」



テュエル

「どれか一つでも欠けていれば、

 きっと、叶わなかった。」


「……正直に言えば、

 俺は、あなたが憎い。」


「ですが……

 レイラ様に寄り添い、力になってくれたこと。

 それら全てに、感謝いたします。

 ……ありがとうございました」


リア

「……え?」

(小さく首を傾げる)


「私、憎まれてるの?なんで?w

 確かに当たり強いとは思ってたけど」




テュエル

「……はぁ……」


(わずかに肩の力を抜き、呆れたように息を吐く)


「俺は男です。

 長年の護衛であっても、

 女性の全てを理解することなど、できません。


 それなのに……

 それなのに……!


 同性だからと百歩譲ってやっていたのに……

 口付けしやがって……

 笑顔で語りかけやがって……

 抱きしめられやがって……」


拳が、わずかに震える。

声は低く抑えられているのに、言葉の端々だけが鋭く揺れていた。

感情を押し殺しているはずなのに、抑えきれない苛立ちが小刻みに滲み出る。


(……)


プルプルと、震えが止まらない。



リア

「……それは、ごめんなさい」


(煽ると殺されそうね)


 

テュエル

「……はぁ……どうするか……」



リア

「どうしたの?」



テュエル

「独り言です。

 戻ってどうぞ」



リア

「うん。

 ……こちらこそ、ありがとう。


 あなたの実力なら、

 ロイロやナイルの息の根を止めることなんて

 簡単だったでしょうに。

 生かしてくれて、助かったわ」



テュエル

「……」


 わずかに視線を逸らした。


「……必要がなかっただけです」


リア

「ふふ……そういうことにしておくわ」


くすりと小さく笑い、踵を返す


そのまま静かに歩き去っていく。



――――――――――――――――――


 


シュン

「あ、リア。

 レイラ、どうだった?」


リア

「まだ熱があって、しんどそうだったわ」


シュン

「でもテュエルがいるなら、

 しばらくは大丈夫そうだね」


リア

「うん、大丈夫」


シュン

「ほんと、あの人優秀だよね。

 戦闘、機転、炊事洗濯、家事料理、調髪、着付け、

 薬学の心得まであるって……まじでスパダリじゃん」


ナイル

「全部、レイラちゃんのために

 学んだって言ってたよ。本当に、一途だよね」


(まぁ、あそこまでやられたら……勝ち目ないなぁ)



ロイロ

「最初に会った時とキャラ違いすぎて、

 もう思い出せねぇよ」


ナイル

「やめて……ロイロw

 あれ、ボク的に結構トラウマだからw」


(あの時、手も足も出ずにボロボロにされた光景が一瞬よぎる)


「テュエル殿は、ご自身のことなら何を言われても平気ですが、

 姫さまのこととなると、豹変なさいますからな。


 陛下がご存命の頃は、

 よく食ってかかっておられましたが……

 よく生きておられたものです^^」


一同

「(王にも…)誰にでも、そうなのね……w」


「あ、大浴場の用意ができたそうです。

 よろしければ、ご案内いたしましょう」

 

シュン

「やったー!温泉?!」


ナイル

「大浴場?!

 もしかして混浴?♡♡♡」


ロイロ

「んなわけねぇだろ」


シュシャ

「双国の温泉は気持ち良いぞ!楽しみだ!」


レオ

「わーい!温泉だー!」


シアン

「行こ行こ」


「リア殿も、女性用大浴場で

 ごゆるりと羽をお伸ばしください」


リア

「ありがとう!」


 

 ――――



 コンコン――


 と扉を叩く音が聞こえる


 


「――テュエル殿。

 姫さまは、私が見ております。

 たまには羽を伸ばし、

 皆さまのお相手をして差し上げてください^^」


テュエル

「…………………………」


(露骨に嫌そう)

まるで

(……ここが、俺の“回復地点”だ)

と言わんばかりに、怪訝な視線を爺へ向ける。



「……テュエル殿^^」

にっこり。


 


テュエル

「………………」


(――この方には、勝てない)


「……はい。行ってきます」


(露骨に渋々、視線を外す)


 


――こうして、

一行は大浴場へと向かうのであった。


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