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双国ノ巫女 〜九尾の力を持つ雪女の姫は、戦場でその力を解き放つ〜  作者: Su
出会いと誓い――護衛テュエルとレイラの軌跡
26/65

臆病者と呼ばれた妖 ―禁足地にいた爺の正体―


部族長不在の間、兵士の統率を担っていた

ヤヒロの父――イブキが歩み寄ってくる。


 


イブキ

「テュエル様、ただいま到着しました。

 ……姫さまは……ご無事なのでしょうか……?」


 


周囲の兵士たちも、

雰囲気的に問題ないとは感じつつも、固唾をのんで見守っている。


 


テュエル

「今は、お休みになられている。

 ひとまずは安心だ。


 説明すべきことも、積もる話もあるが……

 今は、休ませて差し上げてほしい」



イブキ

「もちろんです」



テュエル

「しばらく関門の守りを強化しろ。

 凱帝国からの不審な動きがないか、常に警戒を怠るな。


 潜伏している者がいれば――容赦なく排除しろ。


 姫さまが目を覚まし次第、改めて指示を出す。

 警備は交代制。休める者は、久々の母国で休息を取れ」



イブキ

「はっ。ありがとうございます」




???

「では…………皆様方…………

 わたくしめが……リュウコをご案内致しましょう…………」



リア

「?……ありがとう……」



テュエル

「……!」


目の前の光景に、一瞬、言葉を失う。

信じ難いものを見たかのように、わずかに瞳が揺れた。


テュエル

「……爺殿………………?

 生きていらっしゃったのですか…………」


「その後、音沙汰もなく……

 いくら探しても、あなただけ見つからなかった……。

 凱の者にやられてしまったのかと…………」


 


「テュエル殿、申し訳ございません。

 臆病者ゆえ、身を隠しておりました……。」


「詳しい話は、後ほどに致しましょう。

 まずは、姫さまとお客様方を休ませて差し上げるのが先ですな^^」


 


テュエルに抱えられた、ボロボロのレイラへと視線を向ける爺。


 


「……何にしても……

 このまま姿を見せぬまま、姫さまと再会も果たせず、

 陛下の元へ旅立ってしまっていたら……後悔するところでした。」



「帰ってきていただいて……本当にありがとうございます。姫さま。」


「そして、テュエル殿……

 あなた方も、双国を……私たち民を守って下さり、誠に感謝申し上げます」




爺が、静かに土下座をする。



その背を見たヤヒロが、はっと息を呑み――

次の瞬間には、同じように膝をついていた。


 

イブキもまた遅れることなく続き、

さらにその場にいた村人たちが、次々と頭を垂れる。


 

土に触れる音が、連なっていく。

誰も言葉を発さないまま、ただ静かに――

深く、礼を示していた。




「……また一から整え直さねばなりませんが……

 この地でよろしければ、姫さまが目を覚まされた後も、ごゆるりとお過ごし下さいませ」


 


涙を拭い、眼鏡を拭く爺。




リア

「ありがとう……。

 しばらく……

 よろしくお願いします」


 


眠るレイラの顔を見て、皆が自然と微笑んだ。


 


そのまましばらく、穏やかな沈黙が流れる。

 



 ――――――――――――


 


レイラの休む部屋の、隣室。


 


シュン

「ッブーーーーーーーーーーー!!!!」


 


水を盛大に噴き出す。


 


シュン

「え!?えっ!?えぇ!?//////

 俺…………もしかして…………

 レイラの……

 体液入りの水、飲んでたってこと…………?!」



「はい。

 おそらく、そうでしょうな^^」



シュン

「……だから……

 テュエルが俺にやたら当たり強かったの……?

 気づいてたってこと……?////

 俺、知らなかったんだよ/////」



「はっはっは!

 そうでしょうなwww」


 ナイル

「愉快なお爺さんだねw

 しかしシュン君も、すみに置けないな……」


「レイラちゃんの唾液入りの水だなんて……

 ボクも飲みた――」



 ガァン!!!!



空気が、止まる。


 

ナイルの言葉の途中で、

足が壁を叩く音が響いた。



同時に――



テュエルの視線が、ナイルを射抜く。



死んだように冷たい目。


感情の色を一切感じさせないまま、

ただ静かに、しかし確実に殺気だけを滲ませる。



――これ以上は口にするな。



言葉にしないまま、

明確な警告だけが突き刺さる。



ナイル

「や、やだなぁ…テュエル君、

 ほんの冗談じゃん……♡」


「しかし君も結構ボクに対して

 することが大胆になってきたね……w」


(隣でレイラちゃん寝てるよ??)



リア

「私も……まさか、死の淵を彷徨うことになるなんて思わなかったわ……。」


「レイラが助けてくれなかったらと思うと…………

 ゾッとする。」



ロイロ

「えぇ……もう本当に……

 それはそれはゾッとしました……。」


「あんた……わかってるんだろうな……。

 あんたは煌龍国の姫だ。」


「また、あの様な真似をしたら……

 ただじゃおかねぇぞ」


(鋭く睨む)



シュシャ

「そうですよ、リア様!!

 レイラ殿が助けてくれましたが、

 次に同じ様なことが起こった時、

 レイラ殿が必ずそばにいてくれるとは限りません!!」


「どうか……絶対に、そのようなことはなさらないで下さい!!」


シアン

「…うん、危ないことはしないで。」


リア

「ロイロ……みんな……

 本当に、ごめん。」



レオ

「でもさ、結果的にみんな無事でよかったじゃん」


リア

「あの……爺さん?

 ……なんてお呼びすればいいのかしら……」


「あぁ!これは大変失礼いたしました!

 ここでは【爺】で通っておりますが、

 私め、ケンザンと申します。」


「姫さまやテュエル殿と同じように、

 親しみを込めて“爺”と呼んで下さって構いませんよ^^」



リア

「では……爺?

 あなたは、レイラとどのようなご関係なんですか?」


 

「そんな大層なものではございません。

 私めは――

 姫さまの【彼氏】でございます」


 


シュン

「ッブーーーーーーーーー!!」

(茶を噴き出す)


 


皆、恐る恐るテュエルの顔色を窺う。


 


――テュエルが、珍しくしょんぼりと落ち込んでいる……。


 


ナイル

「え?!え?!どゆこと?!

 ボクの時と態度が違いすぎない?!」



リア

「反応が、いつもと違うわ……!」



ロイロ

「この爺さん、ただもんじゃねぇとは思ってたが……」


 

「まぁ、それは冗談です」




――一同、ずっこける。


 

「はっはっはw」



シュン

「爺さん、お茶目すぎてこっちがついていけないよ……w」



ナイル

「テュエル君が珍しく殺気を放たない時点で、

 相当な手腕ってのが分かるね……w」


 

リア

「爺、すごいわね……!」



「あ、でも姫さまから

 “将来を共にしたい”と言われたこともありますからな。

 あながち間違いでもないかもしれませんぞwww」



テュエルは、

まるで惨敗したかのような顔をしたままだ。



ナイル

「テュエル君がほんと、

 見たことない顔で傷ついてるから、

 そろそろやめてあげようか、爺さま」w


 

「はっはw

 本当はそんな大層な者ではありませんよw

 ただの陛下の世話係、従者でございます。」


「姫さまにとっては、

 乳母のような存在ですな。」


「身分など、何もございませんので、

 どうぞ畏まらずに」



それまで黙っていたテュエルが、わずかに口を開く。


テュエル

「……爺殿。

 今まで、どうしていたのか……

 聞いても?」



珍しく、

テュエルが他人に興味を示し、質問する。



その様子に、リアたちは少し驚く。


 

「……はい。

 あなた方になら…お話ししても大丈夫でしょう。」


「…………私は、禁足地【神の縁台】にて、

 身を潜めておりました……」


 


テュエル

「……!」


その一言を聞いた瞬間、

テュエルの瞳がわずかに揺れる。


まるで、すべてを察したかのように。



シュン

「え、でもあそこって……

 標高が高すぎて……」


「左様でございます。普通の人間なら…

 登り切ることも、降りることも不可能でしょう……」


シュシャ

「つまり……普通ではないと申すか?」


「……姫さまは、

 もしかすると気づいておられるやもしれませんが……。」


「私も……陛下、そして姫さまと同じ――

 妖なのでございます……」


 

――一同、驚愕。


 

リア

「え!そうだったの?!

 全然、分からなかったわ……!」


 

シュン

「うん!

 the・イケオジィちゃんって感じだった!」



ロイロ

「なんの妖なんだ?

 まさか……こ泣き爺?!」

(ノリノリで目を光らせる)



ナイル

「こ泣き爺は失礼でしょ、ロイロ。

 きっと、ぬらりひょんだよ!」

(便乗)



シュシャ

「天狗かもしれんぞ!」

 


レオ

「ははっ、みんな詳しいなーw」


 

シアン

「…河童かな……」


 


――妖怪当てゲームが始まる。


 


「はっはっはっw

 私めは、妖であることを負い目に感じ……

 ずっと人間に化け、

 騙すように生きてまいりました。」


「ですが……

 皆さまと話していると、

 妖も、捨てたものではないと思えてきますな!w」



シュン

「そりゃね!こっちも毎日

 ※モンスターども相手にしてるからね!」

 

 ※ロイロ達のこと

 


――で、正解は?

と、皆の視線が集まる。


 

「……私めは――

 (正解は~)

 蜘蛛男でございます!!^^」



「あぁぁぁーーーー!!」

と、一斉に外して残念がる。



「この蜘蛛の肉体があれば、

 標高の高さなど、ものともしません。

 蜘蛛は寒さにも強いのです。」


「ゆえに私にとって、

 あの禁足地は、

 誰も足を踏み入れられぬ安全地帯でした」



なるほど、と皆が納得する。


リア

「でも……

 レイラと顔を合わせることなく、

 って言ってたわよね?

 会いに行こうとは……思わなかったの?」



「………凱帝国からの襲撃があり、

 陛下とお別れした後……

 私はすぐ、禁足地へと向かいました。


 そして山頂の、

 私の巣にて――

 姫さまが来られるのを、

 ずっと、お待ちしておりました。


 ですが……

 姫さまが、

 こちらへ足を運ばれることは……

 ございませんでした……」


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