5 火属性は燃やし 水属性は癒し 光属性は……眩し! そして僕はやかましい
木漏れ日が差し込む細い道を、落ち葉を踏みしめながら歩いていく。
「ニア、何の魔物を狩るの? 危ないよ」
「大丈夫だよ」
「……」
そのとき、横の茂みがかすかに揺れた。
ん?
地面では、丸く透き通った何かが跳ねている。
スライム……。
「珍しい。こんなところにスライムがいる」
マキナは興味深そうにスライムを見つめた。
「そうなの? やっぱ最初はスライムって決まってるんだよ」
「へー」
全然興味なさそうだな……。
「これ、どうやって倒すの?」
「スライムの中にある核を壊すか、取り出せばいい」
「なるほど」
僕はスライムの中へ手を突っ込む。
「冷たくて気持ちいい」
手探りで中を探っていると、硬い感触に触れた。
「それ、ずっと手を入れてると溶けるよ」
「なんで先に言わないの!?」
慌てて核を握り、一気に引き抜く。
核を失ったスライムはみるみる形を崩し、地面へべたっと溶け落ちた。
きもちわる。
「見て」
「ん?」
「あそこ。ゴブリンがいる。荷馬車を運んでる」
「え!? どこどこ!?」
ゴブリン見たさに身を乗り出した瞬間、足元の乾いた枝を踏んでしまった。
パキッ。
静かな森に、枝の折れる音が響く。
「あ」
ゴブリンたちの耳が一斉にぴくりと動き、黄色く濁った目がこちらを向いた。
……待って、一匹じゃないんかい。
ゴブリンたちは甲高い叫び声を上げ、棍棒や短剣を構えて一斉に襲いかかってきた。
「一回逃げよう!」
「わかった」
僕たちは森を駆け抜け、近くの大木の枝へ飛び移る。
「すごいマキナのこと見てるよ」
「うん」
空気を裂く音とともに、一本の矢が枝をかすめた。
「あぶなっ!」
めっちゃ狙われてる……。
「私が全部狩ってくるから、ここで待ってて」
「え?」
「無明の蜜」
マキナの右手から、黒い液体が滴り落ちる。
「サードシフト」
液体は瞬く間に凝固し、マキナの背丈よりも大きな斧へと姿を変えた。
「なにそれ、カッコいい!」
「これ、私の天賦魔法」
マキナは木から飛び降りると、巨大な斧を信じられないほど軽々と振り回した。
「ちょっと待って! 一回戻ってきて!」
マキナはぴょんと跳び上がり、再び木の枝へ戻ってきた。
「なに?」
「木ごと真っ二つにするのはヤバいって!」
あんまり暴れられると困るんだよ……。
「こっちの方が楽だから」
「もう、僕がやるから見てて」
「あぶないよ」
「大丈夫」
そう言って、僕は詠唱しながら木から飛び降りる。
「燐光よ、裁きではなく救いとなれ。
刃に触れし穢れを浄化し、その存在を世界より解き放て。
白光剣」
手元からあふれた輝きが静かに集まり、細身の両刃剣がゆっくりと姿を現した。
茂みをかき分け、ゴブリンが牙をむいて飛びかかってくる。乱暴に短剣を振るい、血走った目で僕を睨みつけていた。
その一撃をかわし、肩口を軽く斬りつける。
「ギャッ!」
傷口から黒い煙のようなものが立ち上り、ゴブリンは驚いたように数歩後ずさった。
切り傷を中心に全身が崩れ始め、そのまま断末魔を上げて倒れ込む。
この魔法の剣は、魔物を斬るとその身を崩壊させる。
ふと周囲へ視線を向ける。
……しまった。
囲まれた。
その瞬間、頭上から巨大な影が降ってきた。
「あぶなーい」
マキナは手にした斧を地面へ叩きつける。
「ギャーー!!」
轟音とともに大地が揺れ、ゴブリンたちがまとめて吹き飛ばされた。
僕もとっさに身体強化を使い、後方へ飛び退く。
「ちょっと!! 何してんの!? 危ないのはあんたなんだけど! 味方がいるところで範囲攻撃する奴があるか!」
「ごめん」
地面には大きなクレーターができていた。
吹き飛ばされたゴブリンたちは木や地面に叩きつけられ、ぴくりとも動かない。
これ以上マキナを戦わせたら、本当に地形が変わりそうだ。
「全部倒した?」
「うん」
「あの荷馬車に積んであるお宝、全部僕たちのものってことでいいよね?」
「うん」
僕たちは荷馬車へ向かって歩き出した。
読んでいただきありがとうございます。
なんでもいいので感想、評価をください!
書いてくれたら嬉しくて嬉しくて震えます。
変化する武器ってかっこいいですよね。




