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デウス・エクス・マギア ~模写魔法の発動条件がTS(性別逆転)だったので隠れて使います~  作者: 星乃 緋咲
3章 王都・入学試験編

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18/27

18 試験開始でございます。


 試験区域


 馬車を降りると、目の前にはどこまでも続く広大な森が広がっていた。


 受験生たちは、それぞれ指定された位置へ並んでいく。


 辺りに一瞬の静寂が訪れた。


 手首の腕輪が淡く輝き始める。


 光は空中へ広がり、一枚の簡易地図を映し出した。


 円状に区切られた試験区域。


 現在地は最外周――西。


 中心へ近付くほど地図の色は濃くなっている。


 さらに、無数の小さな光点が浮かび上がった。


 魔物の反応だ。


 「準備はできたー?」


 高台からアデルの軽い声が響く。


 パンッ!


 空へ一筋の閃光が打ち上がった。


 「試験開始!」


 その瞬間、受験生たちは一斉に森へ駆け出していく。


 僕はすぐには動かず、近くの木陰へ身を隠した。


 しばらく他の受験生の様子を見る。


 あーあ。


 マキナかフェアが一緒だったらチーミングして楽に二〇〇点取れたのになぁ。


 地図に映る光点へ向かった受験生たちは、それぞれ魔物との戦闘を始める。


 剣で斬り伏せる者。


 魔法で吹き飛ばす者。


 戦い方も実力も様々だった。


 ある程度見届けたところで、僕も動き出す。


 とりあえずゴブリン十体倒して、試験終了まで隠れてよう。


 枝を避けながら森の奥へ進む。


 やがて数体どころではないゴブリンの群れが視界へ入った。


 ……多いな。


 数える気にもならない。


 僕は群れの端を歩いていた一体へ静かに近付く。


 足音を殺し、その背後へ回る。


 気付かれるより先に剣を振った。


 ザシュッ。


 刃が首を裂き、ゴブリンは声を上げる間もなく崩れ落ちる。


 その瞬間。


 腕輪が光った。


 「ゴブリンの討伐を確認。二十ポイント加算されました」


 「おい! しゃべるなよ! バレるだろ!」


 僕の声が森に響く。


 もちろん。


 周囲のゴブリンたちは一斉にこちらを向いた。


 ……バレた。


 仕方ない。


 正面からやるか。


 「よし、こい!」


 しかしゴブリンたちは動かない。


 武器を構えたまま、こちらをじっと見つめている。


 ……なんだ?


 試験用に品種改良でもされてるのか?


 そう思った瞬間だった。


 まるで合図を待っていたように、


 群れが一斉に地面を蹴る。


 土を跳ね上げながら武器を振りかざし、こちらへ殺到した。


 先頭の一体が棍棒を振り下ろす。


 僕は半身になるだけで避け、そのまますれ違いざまに剣を一閃。


 鈍い音とともに胴が裂ける。


 「二十ポイントが加算されました」


 間髪入れず左右から二体。


 僕は一歩踏み込み、剣を横薙ぎに振り抜く。


 銀色の軌跡が宙を走り、飛び掛かった二体は空中で真っ二つになった。


 「四十ポイントが加算されました」


 その後も戦いは続く。


 前から来るなら斬る。


 横から来るなら流して斬る。


 後ろから来るなら振り返って斬る。


 気付けば、僕の足元にはゴブリンの死体が幾重にも転がっていた。


 腕輪へ目を向ける。


 **二百ポイント**


 よし。


 ちょうどピッタシ。


 あとは試験が終わるまで隠れてよう。


 剣を鞘へ収めた、その時だった。


 空気が重く沈む。


 風が止んだ。


 木々の葉は揺れず、虫の鳴き声も聞こえない。


 ……ん?


 僕は腕輪の地図を見る。


 そこには、自分を中心にぽっかりと円を描くように光点が消えていた。


 「へー。別に隠れなくても二百ポイント取れば魔物いなくなるのか。じゃあ試験終わるまで休――」


 その場へ腰を下ろそうとした瞬間。


 パキッ。


 背後で枝が折れる音がした。


 「いなくなったんじゃない」


 低く、どこか歪んだ声が森へ響く。


 「いなくなってもらったんだよ」


 ゾワッ。


 背筋を冷たいものが走る。


 反射的に体をひねる。


 直後。


 ドォン!!


 さっきまで僕が立っていた場所を漆黒の魔法が貫いた。


 地面が爆ぜ、土と木片が吹き飛ぶ。


 着地と同時に距離を取る。


 ゆっくり視線を上げると、


 そこには整った顔立ちの男が立っていた。


 額には二本の角。


 人間ではない。


 「……魔人?」



読んでいただきありがとうございます。

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