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デウス・エクス・マギア ~模写魔法の発動条件がTS(性別逆転)だったので隠れて使います~  作者: 星乃 緋咲
3章 王都・入学試験編

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17 試験前は誰でも緊張するもの


  試験当日 朝


 「今日、何をすればいいか、ちゃんと分かってる? 二人とも」


 「え? 筆記試験でしょ?」


 「まぁ、それはそうなんだけどさ」


 「違うの?」


 フェアは額に手を当て、小さくため息をついた。


 「筆記試験は最初の一時間くらい。その後は、ほぼ実技試験だよ……」


 「え」


 おい。


 実技試験なんて聞いてないぞ。


 なんだそれ。


 あれか?


 水晶に手を当てて魔力を測ったりするやつか?


 「ちなみに、どんなことするの?」


 「えっとね。魔物を倒して一定以上のポイントを稼ぐ、って感じかな。詳しい説明は向こうですると思うけど」


 「ふーん。ちなみに学校って、どんな学校なの?」


 「なんで!? 本当に何にも知らないの!?」


 「いや……うん……」


 フェアはしばらく僕を見つめると、諦めたように息を吐いた。


 「分かったわよ。ちゃんと聞いててね」


 一度咳払いをする。


 「私たちが入ろうとしてる学校は、セレスティア王国が誇る最高峰の教育機関。王族や貴族はもちろん、実力さえあれば私たちみたいな平民でも入学できるの」


 「さすがです」


 「マキナちゃんもちゃんと聞いてた?」


 「うん、きいてた」


 ◇ ◇ ◇


 門をくぐると、大勢の受験生が列を作り、受付へと進んでいた。


 受付の机の向こうでは係員が一人ずつ手首を確認している。


 「あそこにいる受付の人へ、このリストバンドを見せればいいからね」


 「わかった」


 「わかった」


 列はゆっくり進み、やがて僕の番が来た。


 言われた通り、手首のリストバンドを見せる。


 「確認しました。ニア・レイシア様ですね。試験会場へお進みください」


 「はーい」


 特に何事もなく教室へ入り、自分の席へ座る。


 フェアとマキナは別の教室らしい。


 「受験者各位。これより試験を開始する。不正行為が発覚した者は、その場で失格とする。……始め!」


 筆記試験の内容は、魔法の原理や仕組み、属性相性、詠唱理論などが中心だった。


 思ったより普通だな。


 試験を終えると、そのまま実技試験の会場へ案内される。


 「受験者の皆さん、実技試験会場はこちらでーす!」


 入口には再び受付があり、受験生たちが列を作っていた。


 順番が来ると、係員が手を差し出す。


 「リストバンドを確認します」


 腕を見せると、係員は軽く頷いた。


 「確認しました。こちらを装着してください」


 机の上に置かれていた銀色の腕輪を受け取り、手首へはめる。


 カチッ。


 小さな音を立てて固定された。


 「試験終了まで絶対に外さないでください」


 そう言われると外したくなるんだよな。


 「外した瞬間、即失格となります」


 あぶね。


 「では、そのまま奥へどうぞ」


 案内された先は、広い石造りの空間だった。


 天井は高く、十分な広さもある。


 けれど、フェアから聞いていた試験内容をやるには少し狭い。


 周囲を見渡しても障害物は何もなく、広場が広がっているだけだった。


 どう見ても魔物と戦う場所じゃない。


 ほかの受験生たちも同じことを思ったのか、あちこちで小さなざわめきが起きていた。


 その時だった。


 正面の高台へ、一人の女性が軽やかに飛び乗る。


 「はいはーい! 静かにねー!」


 よく通る声が会場中へ響く。


 「これから実技試験の説明をしまーす! 担当のアデル・クローネでーす!」


 手を振る彼女に合わせるように、ざわめきは少しずつ収まっていった。


 「みんな、ここで魔物と戦うと思ったでしょ?」


 にやりと笑う。


 「無理無理。こんなところで暴れたら、施設が壊れちゃうからね」


 会場から小さな笑いが漏れる。


 「ここは説明だけ。本番は別の試験区域だから、説明が終わったら馬車で移動してもらいまーす」


 馬車……。


 「試験内容は単純!」


 指を一本立てる。


 「決められた区域で魔物を倒し、二百ポイント以上獲得すること。それだけ!」


 腕を組み、受験生たちを見渡す。


 「それとみんなが付けてる腕輪!」


 自分の手首をひらひら振る。


 「これ、優秀なんだよねー。試験区域の地図と現在位置、討伐ポイント、それから周囲の魔物の反応まで表示してくれる優れもの!」


 再び笑顔になる。


 「あと、これが一番大事。受験者同士を攻撃した場合、マイナス二百ポイント。プラス、イエローカードね。イエローカード二枚で即失格。あと、ポイントがマイナスになった場合もその時点で失格だから気をつけてねー」


 誰も口を開かない。


 「協力するのは自由。でも、人を殺すための試験じゃないからね」


 空気が少しだけ引き締まる。


 「じゃあ質問ある人ー!」


 手を額へかざし、受験生を見渡す。


 一人の受験生が手を挙げた。


 「はい、そこの君!」


 「魔物の種類ごとのポイントは教えてもらえますか?」


 「あー! 忘れてた!」


 頭をぽんと叩く。


 「ゴブリンは二十ポイント! それ以外は十ポイント!」


 そう言った直後、後ろの時計を見て表情を変えた。


 「あっ、ごめん! 時間押してる!」


 パンッと手を叩く。


 「質問はここまで! 急いで馬車に乗って、それぞれ配置についてくださーい!」


 その指示を受け、僕たち受験生は次々と馬車へ乗り込み、試験区域へ向かった。


 

読んでいただきありがとうございます。

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