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デウス・エクス・マギア ~模写魔法の発動条件がTS(性別逆転)だったので隠れて使います~  作者: 星乃 緋咲
2章 ヒナサ村救出編

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12 ベッタベタモルフォーゼ


 二人と別れ、僕は森の中へ入った。


 変なこと言わずに、村でトイレ借りればよかったなー。


 そんなことを考えながら下を向いて歩いていると、前方の茂みががさりと揺れた。


 よろよろとした足取りの少年が転がるように姿を現す。


 服は泥だらけで、髪も乱れていた。


 びっくりした……なに?


 「た、助けて……」


 少年は息を切らしながら、体を引きずるようにこちらへ近づいてくる。


 僕は慌ててしゃがみ込み、目線を合わせた。


 「どうしたの?」


 「村の……村のみんなが変になって……そして、そして……」


 言葉にならない様子を見て、僕は肩へそっと手を置いた。


 淡い光が少年を包み、傷や疲労がゆっくりと癒えていく。


 少年は何が起きたのか理解できないまま、自分の体を見つめていた。


 「落ち着いて。とりあえず、その村って何て名前?」


 「ヒナサ村」


 ……。


 フェアたちが向かった村だ。


 「君、名前は?」


 「リタ」


 僕はリタと一緒に村へ向かいながら、何があったのか詳しく聞いた。


 異変が起こり始めたのは二日前の夜。


 女性たちは深夜になると虚ろな目をしたまま、どこかへ歩き出すようになった。それを止めようと男たちが後を追ったが、帰ってきたのは様子のおかしい女性たちだけだったという。


 ……あー、二人とも大丈夫かな。


 「ほかに何か気付いたことは?」


 「うーん……みんな甘い匂いがした。あと、女の人たちは誰かに操られてるみたいだった」


 「ふーん。ありがと。とりあえずここで待ってて」


 「わかった」


 リタと別れ、僕は一人で村の門まで向かった。


 「すいませーん。この村に入りたいんですけど、いいですか?」


 「……入るな……」


 門番は感情のない声でそう答えた。


 「さっき女の人が二人来たと思うんですけど」


 「……入るな……」


 何を聞いても返ってくるのは同じ言葉だけ。


 ダメだ、バグってる……。


 一度引き返すことにした。


 リタの待つ場所へ戻ると、腕を組んで考え込む。


 「うーん、どうしよう」


 「お兄ちゃん、さっきの魔法で元に戻せないの?」


 「ん? たぶん戻せるけど……操られてるのを解いたら、操ってるやつに警戒されちゃうでしょ?」


 「確かに。お兄ちゃん頭いいね」


 僕は得意げに胸を張る。


 「まぁね」


 「でも、入れなかったら意味ないよね」


 …………。


 「まぁね」


 うーん、どうしよう。


 考え込んでいると、リタが首を傾げた。


 「ねぇ、お兄ちゃんの仲間は村に入れたの?」


 「うん、たぶん」


 「その人たちは、なんで入れたんだろう」


 「さぁー。カワイイからじゃない?」


 ……ん?


 カワイイ?


 そこで一つの考えが頭をよぎる。


 女の人が操られてるみたいだった。


 もし女性だけを狙っているのだとしたら、フェアたちが村へ入れた理由にも説明がつく。


 「わかったよ。入り方」


 「えっ、なに? どうやって?」


 「女の子になればいい」


 リタは呆れたような顔で僕を見つめた。


 「それ、どうやってなるの?」


 女になる……。


 そういえば、僕は一度だけ女になったことがある。


 確か、変な万年筆を――。


 手のひらに妙な感触を覚え、反射的に視線を落とす。


 なんだ?


 そこには、あの時の万年筆がいつの間にか握られていた。


 え?


 なんで?


 どっから出た?


 「どうしたの? お兄ちゃん?」


 ……まぁ、いいや。


 「リタ少年。今から僕のことは、お兄ちゃんではなく――お姉さんと呼びたまえ」


 「え?」


 万年筆へ魔力を流し込む。


 すると、黒いインクのような液体が全身へと絡みつき、ゆっくりと体を覆っていく。


 骨格が軋み、輪郭が滑らかに変わる。


 身長が伸び、髪がさらりと揺れ、衣服までも黒い液体に飲み込まれて別の姿へと変わっていく。


 やがて変化が終わると、黒い液体は弾けるように霧散した。


 「どう?お姉さんになった僕の姿は」


 「す、すごい! どうなってるの、それ!」


 「すごいでしょ」


 「うん、すごいけど……」


 リタは僕の足を指差した。


 「なんか下から垂れてるよ」


 「あ」



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