11 おもてな死
村へ無理やり入れられ、数十歩ほど進んだところでフェアは違和感を覚えた。
人影はない。
それなのに、どこからか絡みつくような視線を感じる。
辺りを見渡しても、そこには誰の姿もなかった。
……気のせいか。
「マキナちゃん」
「なに?」
ぼそりと返ってきた声は、今にも眠ってしまいそうなくらい力がない。
「ん? 眠いの?」
「うん。宿の枕が合わない」
「じゃあ今度、一緒に買いに行こう」
「うん」
「……あんたたち、旅人かい?」
不意に後ろから声が聞こえた。
振り向くと、背の曲がった老婆が杖をつきながらゆっくりと近づいてくる。
「いいえ。今、ギルドの試験でダミクド草を探してるんです」
「なるほど。どこにあるか聞きに来たってわけじゃな」
「はい」
老婆は小さく頷くと、二人へ背を向けた。
「立ち話もなんじゃ。ついてきな」
ゆっくりと歩き始める老婆を見て、フェアは慌てて声を上げる。
「待って! 仲間がまだ一人来てないんです」
「大丈夫じゃ。話はすぐ終わる」
……まぁ、ニア君なら大丈夫か。
そう自分に言い聞かせ、二人は老婆の後をついていった。
案内されたのは、村の外れに建つ古びた一軒家だった。
「もてなしを用意してくるから、この部屋で少し待っとき」
「はい。ありがとうございます」
扉を開けると、部屋の中は薄暗く、どこか甘い香りが漂っていた。
「なんか甘い匂いしない? ……って、マキナちゃん!?」
マキナは部屋へ入るなり椅子へ腰掛け、机に腕を乗せ、そのまま枕代わりにして眠り始めていた。
そんな寝方したら風邪ひいちゃうよ……。
フェアは苦笑しながら、自分の上着をそっとマキナの肩へ掛ける。
「遅いわね……。大丈夫かしら」
老婆がなかなか戻ってこない。
不安になったフェアは静かに席を立った。
その瞬間だった。
「うっ……」
急に視界が揺れる。
頭が重い。
足に力が入らない。
「頭が……」
強烈な眠気が全身を襲う。
意識が遠のいていき――
フェアはその場に崩れ落ちた。
読んでいただきありがとうございます。
なんでもいいので感想、評価をください!
書いてくれたら嬉しいです!
この話短いので次の話も同時に出します。




