-What's the dream of human beings stepping corridor of green linoleum?- 1-3 物語の舞台背景など
キミは……
「ボクはユメ」
……夢?
「そっ、ユメ。夢の世界の管理人だよ」
見たことの、あるような無いような……
「ボクの姿は見る人によって違うからね。キミにはどんなボクが見えてるのかな」
中学生くらいの、中性的な顔立ちの女の子……かな?
「じゃあそれがボク。キミにとってのユメだ」
そうか、夢か……
「そうそう、ボクはユメだよ」
...
彼女が言うには、ここは夢の中らしい。
夢の中で意識を持つことは、それ自体夢であることを否定してしまうのが持論なのだけれど、どうやらその持論が間違っていたらしい。夢の中なのに意識ははっきりしているし、これは空想妄想の類でもない。
何度も繰り返し「夢は記憶を整理するために存在している」と彼女は言った。だから知らないことや知らない人が登場する、なんてことは有り得ない。ドラマのワンシーンや、道ですれ違った相手の顔を無意識に記憶していてそれが夢の中に出てくるだけらしい。記憶を整理することで、その記憶は現実に起きたことではないこと、だと認識できるわけだ。
それなら今自覚している「夢の世界」は何だというのか。生憎夢も希望もない現実主義者ではあるが、夢の中でまでそんなことを考えているのか、と思うと自分が悲しくなってきたが、どうやら違うらしい。
彼女はこの夢の世界を管理している。まさにユメの世界だ。
彼女によると、どうやら自分の夢が何者かによって干渉され、本来なら見るはずのない夢を見せられてしまったらしい。砂漠にいる夢らしいが、そんなものを見た記憶はない……。ともかく、それで「アナタの見た夢は本来アナタが見るはずだった夢じゃないですよー」ということを伝えるために彼女はやってきた。やってきたというか、夢の世界に意識を持たせた。
さっきまで指輪を探してたってのに、急にトンデモ夢理論をうねり始めたのはそういうワケか。…………ん?
さっき「探してるのは指輪、ってそりゃまたなんでそんこと知ってるの?」って思ったよな……あれ