COLOR グレー
3年前のあの時期、竹原との関係は少しずつだが進んでいた。
私のマンションを訪れる日も日毎に増え、
逢えない夜は不安で胸が張り裂けそうになった。
竹原の存在が今の私を支えている。
離婚には至っていないが、折に触れ竹原は包み隠さず話してくれるのが悲しくもあり、
また嬉しかった。
時を同じくして親友の広美にも竹原との交際を正式に打ち明けた。
初めは驚いた彼女も直ぐに満面の笑顔で「良かった良かった」と優しく頭を
撫でてくれた。
この時の私は何もかもが充実し、満たされていた。だからだろうか、
私は気が付く事が出来なかった。
だが、気が付くべきだった。気が付くタイミングはいくらでもあったように思う。
凶器の嵐がもう、直ぐ近くまで来ている事に。
始まりは些細な違和感。
ひょっとすると自分の勘違いで済んでしまう様な、小さな違和感。
それが全ての始まりだった。
「美鈴?最近元気ないみたいだけど、どうかしたの?ケンカでもした?」
「あっ広美。ううん。大丈夫。何だか最近疲れてるみたいで」
「何かあったの?」
「上手く言えないんだけど、ちょっと変な感じがするの」
「変な感じ?」
「うん。確かめたワケじゃないけど、何かこう、「見られてる」って感じ?」
「見られてる?」
「うん・・・あっでもやっぱり疲れてるだけかも最近忙しいから」
「そう?アンタ本当に大丈夫?アタシで良ければいつでも相談に乗るから一人で
抱え込んじゃダメよ」
「うん。ありがとう」




