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第39話 重なる世界

王都の外れ。


石の門を抜けると、

街の喧騒が少し遠くなる。


畑。


低い家。


風に揺れる草。


普通の景色だ。


だが。


俺は足を止める。


「……見えるか」


クロウが言う。


俺は前を見る。


道の先。


同じ道が、


もう一本ある。


重なっている。


少しだけ、


ずれて。


クロウが小さく笑う。


「始まったな」


俺は目を細める。


「……あれは」


エリシアが言う。


「別のループ」


俺は歩く。


近づく。


すると、


景色が揺れる。


畑が、


一瞬だけ消える。


その奥に、


別の風景。


焼けた地面。


壊れた家。


赤い空。


次の瞬間、


元に戻る。


クロウが言う。


「完全に重なってきてる」


俺は聞く。


「いつからだ」


エリシアが答える。


「コア」


少し間。


「触ってから」


俺は黙る。


あの白い光。


外側。


観測。


クロウが言う。


「世界がズレてる」


俺は言う。


「じゃあ」


少し間。


「この王都も」


クロウが答える。


「いずれ消える」


エリシアが言う。


「崩れる」


俺は空を見る。


青い。


普通の空。


だが、


遠くで、


一瞬だけ。


赤が混ざる。


クロウが言う。


「境界が近い」


俺は聞く。


「どこだ」


エリシアは前を指す。


丘。


王都の外れ。


昔からある、


ただの高台。


「そこ」


俺は歩き出す。


三人で。


丘へ。


草を踏む。


風が吹く。


何も変わらない。


だが。


途中で、


足が止まる。


地面が、


一瞬だけ、


消える。


俺は踏み直す。


クロウが言う。


「危ないな」


俺は答える。


「……見えてきた」


丘の上。


空が、


揺れている。


水面みたいに。


エリシアが言う。


「そこが境界」


クロウが笑う。


「綺麗だな」


俺は近づく。


空気が、


少し重くなる。


耳鳴り。


頭が、


少しだけ、


鈍くなる。


エリシアが言う。


「長くいないで」


俺は聞く。


「なぜ」


エリシアは答える。


「ここ」


少し間。


「世界じゃない」


クロウが言う。


「だから消える」


俺は空を見る。


境界。


揺れる空。


その奥。


一瞬だけ、


何かが見える。


塔。


黒い構造物。


知らない場所。


俺は言う。


「……あれ」


エリシアが頷く。


「次の層」


クロウが笑う。


「やっとだ」


俺は境界の前に立つ。


手を伸ばす。


空気が歪む。


触れた瞬間、


世界が一瞬、


暗くなる。


クロウが言う。


「行くか」


俺は頷く。


「……行く」


エリシアが小さく言う。


「戻れないよ」


俺は答える。


「戻る気はない」


クロウが笑う。


「いいね」


三人で、


境界へ踏み込む。


空が揺れる。


世界がほどける。


王都が、


遠くなる。


そして。


次の層が、


ゆっくり開いた。

第39話でした。


ここで初めて、

別のループ世界がはっきりと重なり始めました。


王都はまだ普通に見えますが、

すでに世界の安定は崩れています。


そして、

アーカたちは境界を越えます。


次回から、

新しい層での物語が始まります。


世界の構造も、

さらに深く見えてくる予定です。


引き続き読んでいただけたら嬉しいです。

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