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第36話 普通の世界

第2章が始まります。


王都に戻り、世界は一見“普通”に見えます。

ですが、アーカの中では確実に何かが削られています。


この章では、


・世界の多層構造

・観測している存在

・アーカの正体


に少しずつ近づいていきます。


第1章よりも静かに始まりますが、

ここから物語の核心に入っていきます。

王都の朝は静かだった。


パン屋の煙。


石畳を掃く音。


市場の準備。


どこにでもある朝だ。


俺は通りを歩いている。


普通の速さで。


普通の顔で。


普通の世界の中を。


クロウが隣で言う。


「……どうだ」


俺は答える。


「普通だ」


クロウが笑う。


「それが問題だ」


俺はパン屋を見る。


昨日と同じ店。


同じ看板。


同じ匂い。


黒パンが並んでいる。


店主が言う。


「いらっしゃい」


俺は頷く。


パンを一つ取る。


金を払う。


何も変わらない。


クロウが言う。


「何か感じるか」


俺は考える。


少し。


だが。


何も出てこない。


「……特に」


クロウが肩をすくめる。


「削れたな」


俺はパンをかじる。


味はする。


温かい。


だが。


どこか遠い。


エリシアが言う。


「それ」


俺を見る。


「正常」


俺は聞く。


「何が」


エリシアが答える。


「世界」


少し間。


「あなたじゃない」


クロウが笑う。


「いいね」


俺は言う。


「説明しろ」


エリシアは空を見る。


青い空。


何もない。


「外を見た」


少し間。


「その代償」


俺は言う。


「記憶か」


エリシアが頷く。


「うん」


クロウが言う。


「それだけじゃない」


俺は聞く。


「何だ」


クロウは答える。


「判断」


少し間。


「選択」


俺は歩く。


通りの奥へ。


人が多い。


声が多い。


だが。


どこか、


“薄い”。


俺は言う。


「……まだ分かる」


クロウが笑う。


「それも時間の問題だ」


エリシアが言う。


「止める方法はある」


俺は止まる。


「何だ」


エリシアが言う。


「外側に行く」


クロウが笑う。


「やっぱりそれか」


俺は聞く。


「何がある」


エリシアは少しだけ黙る。


そして言う。


「あなたが」


少し間。


「何なのか」


俺はパンをもう一口かじる。


味が少し、


薄い。


俺は言う。


「……行く」


クロウが頷く。


「当然」


エリシアが言う。


「でも」


少し間。


「前より危ない」


俺は聞く。


「なぜ」


エリシアは答える。


「もう」


少しだけ、


声が小さくなる。


「削られてるから」


風が吹く。


王都は普通に動いている。


誰も知らない。


この世界の外側のことも。


ループのことも。


そして、


俺の記憶が消えていくことも。


クロウが言う。


「準備しろ」


俺は聞く。


「何を」


クロウが笑う。


「次の層だ」


俺は空を見る。


ただの空。


だが。


その奥に、


何かがある。


俺は小さく言う。


「……今度は逃げない」

第2章のスタートです。


第1章は「世界の裏側に触れる物語」でしたが、

第2章は「世界の外側に向かう物語」です。


そして同時に、

アーカ自身が“何者なのか”にも近づいていきます。


ここからは、


クロウ

エリシア

そしてアーカ


三人の関係も少しずつ変わっていきます。


次回から、

世界の構造がさらに見えてきます。


よければ引き続き読んでいただけたら嬉しいです。

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